意外だった。
何よりも友達を1番に考えていそうな江口くんが
何も言わないなんて……
きっと江口くんの事は解決したとしても、
壮馬の方も解決しなければ絵美理が黙ってはいないだろう。
ずっとこの嫌がらせのことは話すまいと思っていたけど、
やっぱり原因の1つである壮馬が終わらせようと
してくれているのは心強く感じた。
こんな時だからこそ、壮馬の優しさが身にしみた。
ポンポン
短い間だったけど、辛かった。
大丈夫だと思ってたけど、本当は大丈夫じゃなかった。
これで終わらせられるんだ。
ずっと張り詰めていた気持ちが急に緩んで、
安心感が押し寄せてきて、私は泣いた。
壮馬はその間、ずっと頭を撫でてくれていた。
もっと早くから頼れば良かった。
壮馬は私の事を想っていてくれて、
逆に言わない方が壮馬にとって辛いことだったんだと思う。
これからは、ちゃんと言おう。
弱音を吐いて、前を向こう。
感じていても、肝心な時に忘れてしまう。
単純なこと。
そう、私にはみんながいる。
1人じゃない。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。