風を切る音が気持ちいい
ぷつん、と組紐が切れる
その音すらも、僕の耳には届かなかった
唯届くのは、弟の声一つだけ
地面に近づいてきた所で、
焦っているフェージャへ云った
最期に、弟の動揺した目を見て
視界は暗転した
ぐちゃ
フョードルside__
そう云っていると、
段々と地面が近づいてきました
此の儘では死んでしまいます
ぼくの異能力は落下死などの自然死には発動しません
つまり、本当に死んでしまいます
流石にあなたの下の名前カタカナ兄さんに何か云おうと思い、
あなたの下の名前カタカナ兄さんの顔を見ました
そしたら
顔を歪まし、涙を溜めているあなたの下の名前カタカナ兄さんが映りました
嗚呼、ぼくは何て愚かなんでしょう
どうして、ぼくは気づかなかったんでしょう
どうして、疑問に思わなかったんでしょう
あなたの下の名前カタカナ兄さんが今も生きている事について
ぼくは異能力で生きていても、
あなたの下の名前カタカナ兄さんは寿命で死ぬ筈なのに
なら、あなたの下の名前カタカナ兄さんは不老の薬を飲んだ
どうやって手に入れた?
あなたの下の名前カタカナ兄さんは調剤が得意です
何処から知った?
あなたの下の名前カタカナ兄さんの案でしょう
どうして飲んだ?
あなたの下の名前カタカナ兄さんは聡いから、
不老の怖さを知っている
なら、どうして飲んだのか
全部、ぼくが悪いんですね
ぼくがあなたの下の名前カタカナ兄さんに願ったのが、強請ったのが
あなたの下の名前カタカナ兄さんは、
言葉の通り、ぼくとずっと遊んでくれていました
でも、ぼくが太宰くん達に浮気したから
遊び相手を変えたから
あなたの下の名前カタカナ兄さんを一人にさせてしまったから
あなたの下の名前カタカナ兄さんとの約束を無理矢理終わらせるような事をしたから
そう。
何時だってあなたの下の名前カタカナ兄さんは優しかった
あなたの下の名前カタカナ兄さんはぼくを嫌った事なんてありませんでした
「嫌い」だなんて、一言も云われていません
ぼくの、勝手な妄想で
あなたの下の名前カタカナ兄さんは、今もこうしてぼくを抱き締めてくれているのに
ぼくは抱き締め返せずにいる
嗚呼、思考が止まらない、之が走馬灯でしょうか
なら、最期に願い事を__
来世では、
ぼくが、あなたの下の名前カタカナ兄さんの◥に____
xxxx__
家のリビングに、1人の青年の聲が響く
わたわたと、髪型をハーフアップにする青年
其れに対し、呆れたようにもう一人の青年が云った
荷物が入った鞄を持ち玄関へ駆け寄る青年
彼等は、前世の事なんて何にも憶えていないだろう
だが、其の方が幸せなのかも知れない
唯一つ、云うことがあるとすれば
また彼等は、共に生き、共に死ぬと云う事だけだ
其れをまた何回も繰り返していく
其れでも
彼等が幸せならば其れで良いのだろう
彼等が離れ離れにならない限り、
彼等は生きていけるのだから












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。