落ちながらそんな会話をする僕たちは、端から見れば異常でしょう
上手く地上に着地して、猟犬本部へと走る
嗚呼、矢っ張り僕の患者様達は素晴らしい
ならば僕も、彼等と限りなく近い存在に____
猟犬本部____あなたの下の名前の部屋____
何百人分の人生を使ってフェージャを観察し、ふと疑問に思った事
フェージャの異能力『罪と罰』その効力は
________「仮死状態」ではどうなるのか
何の躊躇も無くフェージャを機械に丁寧に入れる
ぱたん
機械の扉を閉じ、作動させる
しゅぅぅうううう…
中が急速に冷やされ、フェージャの細胞が眠り始めるのを唯眺めていた
何時まで経っても意識は薄れることはなく鮮明だったが、それに反するかのように心は霞んでいる
乾いた笑いが部屋に響く
その後直ぐに、涙声が聞こえてきた
僕の生きる意味
僕の唯一の家族
僕が生きてきた理由
其れを全て
自分で
自分自身の手で
壊してしまった
機械へ、弟へ、顔を擦り寄せて泣き崩れる
弟に涙が付いて其の儘下へと垂れる
機械に反射する自分の顔
僕の生きる意味
もう、一つだけじゃないから
最後の雫が頬を伝う
その雫が弟を伝って行くのを見つめていた
僕の名前は狭間あなたの下の名前で
猟犬の異能技師なんだから
吸血種騒動が落ち着いて来た頃、猟犬本部は大騒ぎだった
自分だけガスマスクを着けて麻酔ガスを撒く
却説、先ずは…
その次に道造君、
次に条野
その次に鐵腸くん
最後に輝子さん
全員の治療が終わり、椅子に座って本を捲る
じゃき
頭に銃口が充てられる
それにおとなしく従って、両手をあげた
じゃき
銃口は、僕じゃなく
道造君に向けられていた
軽い圧が双黒へとのし掛かる
じょきんっ
もうない右手の手首を左手で締め、止血しながら後ずさる彼らに一言云う
万年筆を取り、本へ一文書き込む
数年後____
ギュッ
いつもの会話を眺めて、笑って、呆れて
わしゃわしゃと、道造の頭を撫でる
大丈夫、
今日も生きていけそう
取り敢えず、
君が死ぬまで生きてみよう














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。