◆アレンールシフェニア王宮内「天国庭園」にて
"王女に気に入られる"というのは、僕らにとってとてつもなく重要なことである。実際王女付きの使用人というのは"命がけ"といっても過言ではない。もし偉大なる王女様の機嫌を損ねようものなら、即座に首をはねられてもおかしくないのだ。"クビになる"の意味が世間一般と王宮内では全く異なる。
リリアンヌによって先月は十七人、その前の月には二十八人もの人間がギロチンにかけられた。罪状は様々で、ある者は王女に暴言を吐いた、ある者は王女のドレスに水をこぼした、ある者は王女と目が合った時にたまたま顔がにやけていたなど。とにかく王女が気に入らない人間はみんな、速やかに処刑されてしまうのだ。彼女にとって自分以外の人間はペットや人形やおもちゃと大差ないのである。いらなくなったら捨ててしまえばいい、そんな認識なのだ。
少し離れていたところで噴水を磨いていたシャルテットが、何かに気づいた顔でまたこちらに話しかけてきた。僕と彼女は幼馴染、とでもいうのだろうか、子供の時から知っている仲なので、自然と他の使用人よりも話す機会が多い。
ネイも僕やシャルテットと同じように、王女付きの使用人の一人だ。ネイは仕事だけなら僕らよりよっぽどそつなくこなすし、リリアンヌを怒らせることもない。さすがは侍女長の愛娘、といったところか。
庭園に突如響いた大きな声。元をたどると、正門から赤い鎧に身を包んだ精悍な男が、笑みを浮かべて僕のもとへ向かってきた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。