第28話

二十七話 天使の暇つぶし 鶴丸視点
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2022/07/10 15:30
主が学校に行っている間、俺は暇を持て余していた。主達が帰ってくるまでに寮に何か仕掛けようかとも考えたが、気分転換に外に行くことにした。
鶴丸国永(極)
鶴丸国永(極)
出来ることなら学校の様子でも見に行きたいんだがなあ
オンボロ寮の外に出れば、学校は見える距離にある。歩けばすぐ辿り着けるのに、バレたら主からお叱りをうけるので行けないのがもどかしい。
鶴丸国永(極)
鶴丸国永(極)
今日は“ばいと”で遅くなると言っていたしな
屋根の上からならバレないだろうか。とも考えたが、やめておいた。その代わり、教師からの許可が無ければ主が行けないという街へと向かう。
鶴丸国永(極)
鶴丸国永(極)
学校の方とはまた違った雰囲気だな。
賑やかで良いじゃねぇか
屋根から屋上へ移動し、地面の上を歩く人々を眺める。うちの万事屋街とは全然違う“洋”の雰囲気を見て、案外悪くないな……と一人考えたりする。
そんな時、下から猫の声と共に「待ってー!」と声を上げる幼い子供の声が聞こえた。
上から見てみると、路地裏の方に一匹の白い猫が逃げ、その後を一人の少年が追い掛けている。
少年
クラウド!待てって!
鶴丸国永(極)
鶴丸国永(極)
(くらう……?飼い猫か?)
仕方なく猫の前へと飛び降り、猫をゆっくりと抱き抱える。姿を見せるつもりは無かったが、やむ無しだ。
少年
貴方は……
鶴丸国永(極)
鶴丸国永(極)
君の飼い猫かい?良い毛並みの猫だな
少年
う、うん
鶴丸国永(極)
鶴丸国永(極)
お前ももう逃げるなよ
少年に猫を渡し、ツンと猫の鼻を人差し指で触る。
猫は「ニャー」と鳴くと、ペロッと俺の指を舐めた。
少年
あ、あの。貴方は……“天使さま”?
鶴丸国永(極)
鶴丸国永(極)
ははっ!刀を帯刀した天使か!
そりゃあ面白い
少年
ち、違うの?上から羽をぶわっ!って広げて降りてきたし、白いし……
鶴丸国永(極)
鶴丸国永(極)
そりゃあ着物の袖だな。だがまぁ、それはそれで有りか。中々愉快な発想だ。
もう少し散歩したい所だが、俺はそろそろ戻らないとな。それじゃあ、気を付けて帰れよ
去り際に「歳を重ねる度、人はなんかしらの“色”に染まるが、真っ白だった自分を忘れるなよ。少年」とだけ言い、俺は左右の壁を蹴りながら屋上へ飛んだ。
少年
今のお兄さん……降りてきた時は天使みたいだったけど、今度は空に、雲に向かって高く飛ぶ白い大きな鳥みたいだね
屋上から少年と猫の様子を伺っていると、少年は「でもお前は、本物の雲みたいに僕の届かない場所までフラ〜っと勝手に行くなよ?僕はあのお兄さんみたいに飛べないからな?クラウド」と猫に言い聞かせながら路地裏から出ていく。
鶴丸国永(極)
鶴丸国永(極)
(届かない場所まで、か)
鶴丸国永(極)
鶴丸国永(極)
今の俺には自分から主の元へ帰れる“足”がある。帰るべき場所に帰るか

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