第4話

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2020/07/18 08:41 更新
ある日の夕刻だった。

いつものように光一様と城の食堂に向かう。

朝食と、昼食は、怜香様が、持ってきてくれるので、夕食のみ、光一様と共に摂っているのだ。
そういう、お許しがでた。
光一様のお陰で。

と、食堂に向かう怜香様とバッタリと会った。
レイカ姫
お兄ちゃん!つよし!
光一王子
怜香、今日も勉強はかどってるか?
レイカ姫
うん!でも、絵を描くのって簡単そうで、結構、難しいんだね
剛王子
くぅ~ん(怜香様は、絵を描くのが好きなんや・・・・初耳・・・)
光一王子
そうだ。つよし王子は、油絵を描くのが得意だそうだ。今度、マンツーマンで教えてもらったらどうや?
レイカ姫
えっ?そうなの?
剛王子
ワンワン★(だ、だめや!そんなこと言うたら💦💦💦)
急につよしが吠えるので、
レイカ姫
やだ、つよし。あなたのことを話しているんじゃないのよ?
同じ名前ではあるけど(笑)
光一王子
あははははは
剛王子
ワンワン★(いや、俺のことなんやけど)
光一王子
あはははは
光一王子は、苦笑している。
レイカ姫
つよしは、本当に不思議な犬よね
剛王子
(ドキッ)
レイカ姫
だって、なにかと反応するし。
つよし王子は、いなくなったって噂があるし・・・・
剛王子
!!!!
レイカ姫
まさか、本人だったりしないわよね?
剛王子
・・・・(それは、否定できません)
光一王子
あんまりいじめるなよ
レイカ姫
不思議と言えば、お兄ちゃんも
光一王子
えっ?
レイカ姫
毎朝・・・
って言うか毎日?
時々通ると話し声が聞こえるんだけど・・・・誰と話してるの?
光一王子
いや・・・それは・・・・
まずい・・・ばれてしまうんか?
光一王子
気のせいや。
だって、部屋には俺と、この犬のつよししかいないんだぞ?
剛王子
ワン★ワン(そうやそうや)
レイカ姫
やだ、お兄ちゃんってばつよしと会話して、1人2役してるの?
光一王子
・・・まぁ、そういうことになるな
レイカ姫
なぁんだ。つよしが本当は、言葉がしゃべれる犬なのかと思っちゃった
剛王子
・・・・(ドキッ)
光一王子
・・・まぁ、それに近いかもな
レイカ姫
えっ?そうなの?
光一王子
そうだとすれば、俺としか話せないってことや
レイカ姫
いいなぁー
剛王子
ワン((えっ?)
レイカ姫
言葉がしゃべれる犬だったら寂しくないもの
光一王子
・・・そうだな
レイカ姫
辛くても、寂しくても・・・ずっとそばにいてくれそうだから・・・・
光一王子
怜香・・・寂しいのか?
剛王子
・・・
あのときの悲しそうな怜香様の顔を思い浮かべてしまう。
レイカ姫
ふふふ。なんてね。
でも、つよしは、言葉がしゃべらなくても不思議な犬よね。その人の心をわかってくれそうな気がするから・・・・
わたし、お腹すいちゃった❤️
先に行くね❤️
光一王子
あぁ・・・・
剛王子
くぅ~ん
怜香様を、見送ると・・・
光一王子
危ない危ない
なかなかするどいだろ?あいつ・・・
剛王子
・・・(うん・・・そうやな)
光一王子
そろそろ、自供してみるか?
ブンブン思い切り首を振るつよしに、光一様は
光一王子
やはり、心配か・・・
そう言って優しく剛の頭を撫でるのだった。
その夜、光一王子が、部屋に戻るとつよしはもう、寝ている
・・・と思ったら、突然起きて、
剛王子
あの!光一様
と、人間の姿になった。
光一王子
お前、起きていたのか?
少し戸惑いながらも、笑顔を見せてくれた
剛王子
あの・・・俺・・・
いえ、わたしは、この国の者ではありません。ただの迷い人・・・
王子と言ってもみんなにパシリされてるんや。
光一王子
あぁ、わかるよ
目を覚ましていたとき、警戒していたしな。
しかし、どうしてお前は森にいたんや
お前は迷い込んだと言っていたな
剛王子
はい
光一王子
その森の魔法使いは、人間たちの魂を面白おかしく使うと、聞く。
剛王子
えっ?
光一王子
お前は試されているのだろう
剛王子
試されてる・・・
光一王子
お前は国の王子なのに、なぜ、パシリなんて・・・
剛王子
わたしの国全体も呪いにかけられているのかもしれません。
そのせいで、私に対して反発を始めました。
国を荒らし、人を殺し・・・
光一王子
なるほど・・・
だから心を閉ざしてしまったのだな
剛王子
私には、他の国に相談できる友人もいないし、兄妹もいません。
光一王子
親は?
剛王子
親も操られているようです
光一王子
そうか。
剛王子
どうすれば、みんなを元に戻せるでしょうか・・・
どうすれば・・・・
わたしには、そんな勇気がないんです。
光一王子
つよし
剛王子
はい
光一王子
この間から言おうと思っていたのだが・・・・
剛王子
はい
光一王子
なにをそんなにかしこまる必要があるんや。お前は王子だろ?
王子は王子らしくしろ。
剛王子
いぇ、最近優しくされたことなどなくて・・・・
光一王子
敬語など使うな
剛王子
えっ?でも・・・・
明らかに光一様の方が、位の高い王子だ。
同じ、王子でも違いすぎる
光一王子
この話は、ここまでだ。
それより、お前・・・
剛王子
えっ?
こ、今度は何を言われるんや
光一王子
怜香のことがやはり好きなんだな
剛王子
えっ?いや、あの・・・それは・・・
俺は真っ赤になってしまう。
もう、勘弁してください。
光一王子
ははは。やはり、わかりやすい奴だな
剛王子
す、すみません。
光一王子
なぜ、謝るんや。人を好きになることはよいことだ。
剛王子
そ、それはそうですが・・・ましてや、あなた様の大切な妹で・・・
それに今は犬になってしまう身。
このような姿を見たら、きっと怜香様は、残念がる。
それに、怜香様には他に好きな方がいるみたいで・・・
わたしは、ずっとこのまま・・・
光一王子
つよし!
剛王子
・・・・・!
急に肩を掴まれる。
光一王子
いいか?そんな考えはだめや。
剛王子
光一様。
光一王子
剛、いいか?どんな辛いことがあっても笑っていろ
笑っていれば忘れられるんや
剛王子
・・・・
光一王子
わたしは、君の協力をすると約束をした。
わたしは、お前の友人代表として協力をする。
それではダメか?
剛王子
光一様。
光一王子
不服か?
わたしは、お前の国を助けたいんだ。いや、
お前自身を助けたいんだ
剛王子
ありがとうございます。勿体なきお言葉。このような見ず知らずのわたしを、友人として迎えてくれるなんて・・・
光一王子
それは、よかった
光一様の笑顔は剛王子の閉ざされていた心をいつの間にか融かしていた。
光一王子
きっと剛・・
いや、剛王子にも笑顔になれる日が来る。
そう、信じている
犬に戻り、眠るつよしに、光一王子は、呟いていた。

そして、つよしが光一王子の城に来てから、1ヶ月近くは経っていた。

剛王子は、光一王子が、朝早くからいつもどこへ行くのか気になっていた
レイカ姫
つよし❤️
剛王子
ワン★
あれから、毎日、朝と昼のご飯を持ってきてくれる怜香様。
剛王子
くぅ~ん
レイカ姫
つよし、私ね、決意したよ?
悟に・・・
悟兵士に、気持ちを伝えようかと思ってるの・・・
剛王子
えっ?気持ちを?
剛王子
くぅ~ん
レイカ姫
つよし、そばにいてくれる?
剛王子
・・・・くぅ~ん(ええよ。いてあげる。君が傷つかないように・・・)
つよしは、この際人間に戻り、怜香様のことを抱き締めてやりたいと思った。
ただ、頑張れって応援するために・・・

だけどやはり、そんな思いきったことはできないんや。
そして、悟兵士の元へ着き、
レイカ姫
悟!
悟兵士💂
怜香様?
レイカ姫
あの・・・・
わたし・・・
怜香様は、なにかを言おうとしたが・・・
悟兵士💂
怜香様。あなたには、悪いんですが・・・
あなたのその答えは・・・聞かなくてもわかるけれど・・・
しかし、そこへ
虎隊長
悟!何をしている
虎隊長が、すごい剣幕で近づき、
虎隊長
サボるな・・・
と言ったはずだ
そして、ビシッと悟兵士のことを叩いた
レイカ姫
どうしたのよ、虎隊長。あなたが暴力を、奮うなんて・・・
虎隊長
怜香様は黙っていてください
剛王子
ワンワン
虎隊長
怜香様こそ、捨ててこいと命じたはずなのに・・・
なぜ、その犬をつれているのですか
レイカ姫
虎隊長?
いつもと違う・・・
虎隊長
悟、戻らなければただでは済まさない。
悟兵士を、睨み付けると虎隊長は、持ち場に戻っていった
レイカ姫
悟?大丈夫?
悟兵士💂
あぁ・・・ここ数日あの人はあんな感じなんだ・・・
レイカ姫
それって、お兄ちゃんと、アンナさんのことが原因?
悟兵士💂
それもあるだろうけど
レイカ姫
悟は、早くもどっ方がいいよ。また、虎隊長になにされるか・・・・
悟兵士💂
話があったのでは?
レイカ姫
また、今度にする・・・ごめんね、呼び止めて
悟兵士💂
わかった。それでは、失礼する
レイカ姫
・・・・・
悟兵士が、去ったあと、怜香様は、その場にしゃがみこんでしまった
剛王子
ワン(ど、どうしたんや)
そう言いたいのに、犬の姿の俺は、そんな言葉も言えない・・・・
レイカ姫
ダメね・・・、わたし
剛王子
くぅ~ん(怜香様・・・)
レイカ姫
これじゃあ、剛王子と変わらないね
剛王子
(えっ?俺?)
まさか、怜香様の口から俺の名前が出てくるなんて・・・
レイカ姫
あなたと同じ名前の王子よ。
剛王子
(俺のことを知っていてくれたんや・・・・でも、どうして・・・・)
レイカ姫
一度ね、会ったことあるの。・・・と言っても直接話したことはないけど・・・
あっ、これって会ったと言わないか・・・
剛王子
(・・・・?)
レイカ姫
自分の言いたいことを言えない人なんだなって・・・・
剛王子
(・・・えっ?)
レイカ姫
自分がやってないことなのに悪者扱いされて・・・
友人をかばってた。
剛王子
(・・・えっ?見てたんか?)
レイカ姫
優しい人なのに、お人好し過ぎるなって
剛王子
(・・・・・)
レイカ姫
でも・・・あの日・・・
ちょうどひと月前だったかしら・・・・・あの森に行って黒い影のもののけに襲われそうになったとき・・・・助けてくれた人・・・・
剛王子に似てる・・・
剛王子
(そうや。それは、俺や)
そう言いたいが、犬のままである。
レイカ姫
ふふふ、なぁんてね。そんなわけないか・・・
剛王子
くぅ~ん
レイカ姫
戻りましょ
剛王子
(怜香様。俺は、ここにいます。
例えこの気持ちが届かなくても・・・あなたのそばにいたいです)
怜香様の後についていた俺だったが、
光一様の姿を見ると・・・・
剛王子
ワンワン★
レイカ姫
えっ?つよし?どこにいくの?
見ると、つよしは、お兄ちゃん(光一王子)の方へまっしぐら。
レイカ姫
ふふふ。よっぽどお兄ちゃんが、好きなのね。
怜香様は、そんなつよしを、見送ると自分の部屋へと帰っていった。
つよしはというと、前々から、光一王子がどこへでかけているか気になっていたので、そっとついていくことにした。

しかし、その後ろには、黒い影が・・・・


神殿に閉じ込められているはずの虎隊長・・・・

ではなく・・・なにか、物の怪にでも操られているような彼の姿・・・
とすると先ほどの彼は・・・まさか・・・
彼の額には、黒い刻印が刻まれていた?
虎隊長
ふふふ。光一、やっとお前を殺すことができる。
彼は不気味な笑みを浮かべると、つよしのあとを、ついていったのである。

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