ぱたぱたぱた。
姿こと見えないものの普段から聞き慣れていると本当的にその
足音の主が誰なのか必然的に分かってしまいますね。
いつ降りて来るのか気になり階段の方に目をやるとちょうど音
の主が降りて来た様です。
一方的な短い挨拶。それこそが一緒に過ごして来た中での最適
な距離。互いに無理せず過ごせるようなそんな雰囲気が心地
よい。
ふみやさんが冷蔵庫からゼリーを取り出しました。さて、その
ゼリーは本当にふみやさんの物なのだろうか。私の記憶が間違
っていなければ数日前にテラさんが同じゼリーを冷蔵庫に入れ
ているのを見たような気がしますね。
もしそうだったら大人として注意しなくては。
ああ、食べ始めてしまいました。でもまだ引き返せます。です
がきちんとダメなものはダメと教えてあげないと。彼の為でも
ありますからね。
やっと気づいていただけました。次は反省ですね、この調子で
いくといいんですが。
テラさんにはきちんと謝ってお詫びとしてまたゼリーを買わな
いといけませんね。
1歩進んで3歩下がってしまった。これはもう自分がきちんと話
さなくてはならない様ですね。
またこれだ。ふみやさんは人に注意されるごとに
『だめ?なんで?』
と返す。まるで善悪の区別がつかない子供の様な言動である。
彼は正邪のカリスマですからね。
さて話の続きをしよう。
盗みと同然。そう言葉を紡ごうとした途端、口に柔らかいなに
かが詰められる。ほぼ条件反射の様に咀嚼し始めて柔らかいな
にかの正体がゼリーだったことに気がつく。
ん?ゼリー?
ああ、いつものふみやさんのペースに呑まれてしまいました。
こうなったらもう許す以外の道が閉ざされてしまう。
そしてまた、
何度目か分からない許しを彼に与える。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!