机の角にぶつけた頭を擦りながら、燕は嘆いていた。
今まで生きてきた17年間は、ほぼ全てついてないことで埋め尽くされていた。燕はそんな人生に少々うんざりしていた。
燕には前世の記憶がある。少年の記憶だ。しかしその記憶は小学4年生の夏で途絶えている。
彼は自殺したのだ。
繰り返されるいじめに耐えられず、自らの命を捨ててしまった。そして燕はそんな彼のせいで運が悪いのだと信じていた。あんなことをしなければ。彼が笑って暮らせていたら。どれほど楽に生きられただろうか。そんなことを考えていたら、足元に山積みにされた教科書の山に躓いてしまった。
眼の前に、ほんの数分前頭をぶつけた机の角が迫る。
ゴンッ
と鈍い音が頭の奥まで響いた。視界が段々狭くなり、燕は意識を手放した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。