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第1話

ついてない
41
2023/08/28 07:42
燕(つばめ)
燕(つばめ)
もう、ほんとついてない……
机の角にぶつけた頭を擦りながら、燕は嘆いていた。
今まで生きてきた17年間は、ほぼ全てついてないことで埋め尽くされていた。燕はそんな人生に少々うんざりしていた。
燕(つばめ)
燕(つばめ)
こんなに運が悪いのはおかしい
やっぱり前世のせいよ
燕には前世の記憶がある。少年の記憶だ。しかしその記憶は小学4年生の夏で途絶えている。


彼は自殺したのだ。


繰り返されるいじめに耐えられず、自らの命を捨ててしまった。そして燕はそんな彼のせいで運が悪いのだと信じていた。あんなことをしなければ。彼が笑って暮らせていたら。どれほど楽に生きられただろうか。そんなことを考えていたら、足元に山積みにされた教科書の山に躓いてしまった。
燕(つばめ)
燕(つばめ)
あっ、うわぁっ!
眼の前に、ほんの数分前頭をぶつけた机の角が迫る。

ゴンッ

と鈍い音が頭の奥まで響いた。視界が段々狭くなり、燕は意識を手放した。

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