相手は特級
以前戦った時、差は歴然だった
古来より羅刹は人を食らい、破壊と破滅を司る鬼神とされ恐れられてきた
だが、凶悪な煩悩を食い尽くす善神としても崇められてきた
そんな大昔からの人の呪いが集まって形になったのが目の前にいるものだ
今回、羅刹は必ず領域展開を使ってくる
その時が私にとっての本当の正念場だ
攻撃を何とか受け流しながら反撃を試みる
今はもう地下ではなく地上
地上に人間はほとんど居ない
羅刹の捕食対象となるものはもういない
地盤が崩れる
共に周りの建物も内側から爆発するように吹き飛んだ
気づいたらもう、遅い
そこに"いる"から
羅刹は掴んだ私の腕を引き寄せ、その腕に歯を立て
ちぎった
私の体内を流れる呪力は特殊だ
血液もまた同様に特殊
トガちゃんのように人の血液を摂ることでその人になれるという能力がなければ、毒だということに変わりは無い
羅刹が言っていることから推測するに、恐らく呪力は何ら変化していないだろう
私のような特殊な呪力の保持者は感知する際、独特な甘い匂いがするらしい
それは稀にいる一般人の中でも個性があり、少し呪力を多く持っている人がそうだ
今のところ術式も効く事が分かっている
確信はできた
あとは"試す"だけ
そう言って、不敵な笑みをこぼした
展開直後
周りに広がった世界は思っていたよりも静かで
真っ白な世界だった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。