あの日を境に落ち着きを取り戻したジェノも精鋭部隊の一員として戦地に一緒に赴くようになった…
やはり現場を見ることで閉じこもっていた時よりもたくさんのことを目にすることができ、この戦争の意義やお父様がいかに早く終結させるために必死なのかを感じ取ってくれたようで…
元々の優しさだけでなく、日々の訓練やヘチャニの影響もあって、たくましさを兼ね備えるように…
そんな当時を思い出しつつ、引き続き2人きりになった時にジェミニの幼少期のことを雑談がてらジェノに聞き込みしていると、盾の特異体質のことで今まで自分が気づいていない事実を知った…
それは本人も気づいていないことで、いつも一緒にいたジェノの見立てによると、ジェミニは魔法力を感情によって増幅させることができるらしい…
幼い頃、ジェノが同級生に突然ぶつかられて階段を踏み外して足をひねる怪我をしてしまったようで…
(誰だ…俺の弟を怪我させたやつは…プルプル)
後から追いかけてきたジェミニが痛がるジェノに気づき、すぐに駆け寄ってきて泣き出しながら治癒の魔法を出そうとしたらしい…
でも戸惑っているせいなのか傷を治せるほどの力が出ず…
ジェノがお礼を言いながらジェミニと目が合った途端、グンと魔法の力が増していき、身につけていた魔法石が力を吸収し過ぎて光出すほどに…しばらくして傷が完全に治るほどだったとか…
感情の起伏のきっかけが正直「ジェノの言葉」だったからな気がしなくもないが、ジェミニがいない以上、勝手な憶測はしないことにした…
とはいえ、当時から2人がそれだけ気を許し合えるほどの仲を築いていたとなると、敵国側の人間であるジェミニのことが心配だろうし、昔話を気軽に話せる環境でもない世界がどれだけジェノにとって居心地が悪いかというのを改めて実感した…
ジェノに言われて気づく…自分が次の王になるのだとあれほど意識して生きてきたのになぜ?…悪い虫の知らせだろうか…でもジェノなら大丈夫だと心から思ったのは嘘じゃなかった…
ジェノから得た情報も参考にしつつ、犯人探しの調査をし始めて既に1ヶ月がたった…東の国との会合までに真犯人の情報を得るべく、毎日調査を続けていると偶然、他国での戦争情報の中で「死の女神、再び暗躍か!?」という見出しが目に入った…
実際、睡眠薬と思われた毒薬は確かに先代王によるものだったとしても実行犯は別…しかも李家と変わらないほどの身体能力を持っている人物…
となると、複数人を指示でき、動かせる立場の人物がいるはず…
頭を抱えつつも、その日は国の生計を立てるべく、とある戦地への増兵依頼で激しい交戦が繰り広げられている戦地に行った…
早く依頼を片付けて調査に戻ろうと躍起になっていたら少し無理をしてしまい、安全な場所で休もうと丘の上から戦況を見ていると気配を感じる隙もなく、突然見知らぬ声が後ろから聞こえてきて驚く…
自分の後ろにいた人物は戦地には似つかわしくない小柄で華奢な可愛らしい青年で…しかもこれだけドンパチしている環境でも冷静…むしろこちらに笑顔を向けており余裕すら感じさせる…
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!