誘拐未遂事件の調査を始めるにあたってまず気になったのが動機…
これまで羅家におけるジェミニの待遇はかなり良い方で、親戚たちは自分の孫や子供のように可愛がっていたと聞いていた…
なおかつ、ジェミニの生まれ持った魔法の能力が「盾の祖」と言われているお方と肩を並べられるほどと身内自慢をするほど幼い頃から期待もしていたほどで…命を狙う理由が見当たらない…
西の国は再統合を前提とした戦いを続けているため、分断前の資料も破棄することなく大切に保管している…いつの日かまた訪れるであろう平和な日々を夢見て…
そんな書簡庫への入室はお父様のお手伝いをする中で前から許可を得ていて、誰かに何かを言われることもなく毎晩通いつめて資料を読み漁った…
ある日ジェミニと羅家に関する記録に目を通していると、あるページだけが不自然に抜き取られており、その前後のページにも修正跡が残っていることに気がつく…
それは盾の能力を授かった者が幼少期に受け取る魔法石に関する記載部分で、よく見るとジェミニの魔法石の発注先が通常とは異なるルートになっており、発注内容の詳細に関する部分が抜かれていた…
慌てて塗りつぶすように修正されていたのは発注先の情報で、代表者名をよく見ると「鍾」から始まっていて、この国では見かけたことがない名前…
その抜き取られた部分に理由がありそうで、幼い頃から一緒にいる時間の多かったジェノにそれとなく聞いてみる…
今は訓練を前向きにできるほど元気になり、戦地で被害者が出ないように一緒に立ち回ってくれてるジェノだけど…
東西に分断されてすぐ、ジェミニに会えなくなったことと戦争への恐怖心からしばらく塞ぎ込んで部屋から出ることができなかった…
誰よりも戦争へ恐怖心を持っている理由は、ジェノのお母様の影響が強い…
お父様が戦地で助けた他国の王族であるジェノのお母様はとても心優しく聡明な方…しかし自分の生まれ育った国が滅ぼされるほどの酷い戦争体験によって精神状態は日常的にあまり良くなく、お父様が特別に用意した城とは別の館で療養されていた…
(その別館のせいでジェノを兄弟扱いしない家臣もいたけど…)
そんな親を見て育ったジェノは人一倍争いが嫌いで、学園卒業後の従軍では大切な人を守るためなら頑張れると言っていたほど…
なのに今回の戦争の敵は東の国…ジェノにとって最も大切な人が敵に回ってしまい、自身で守れる距離ではなくなってしまったことで不安を通り越して、失う恐怖が勝ってしまったらしい…
そんな状態でジェミニに危害が加わったことを知ってしまうとさらに悪化してしまうと思い、お父様やヘチャニと黙っていたら、ある日部屋からジェノがいなくなっていた…
慌てて探しにいくと東の国との境界線付近でうずくまっていて…
どうやら城に務める者たちの会話でジェミニに何らかの危害が加えられたことを知ってしまったようで…お見舞いに行こうと単独で東の国に行くため境界線を跨ごうとしたが、魔法障壁で察知されたらジェミニに会うことなく死んでしまうこと気づき、悔しくて泣いてたらしい…
ジェノにとってジェミニが生きる上で大切な存在なのであれば、自分はそんな2人が平和に暮らせる王国を築く…それがみんなを守る王としての務めだとお父様の姿から教わった…
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。