第10話

第9話
1,883
2020/08/13 03:10
凛
.....あああぁ!!??
私の悲鳴にも似た大声に、場がシーンと静まり返った。
???
.......あれ、見た事ある
今は他の女の子からの視線も気にして居られない。
凛
あの時のピンク髪の人!
だって、ようやく会えたから。
凛
あの!この間はありがとうございました!
すっごく助かりました!
しっかり目を見てお礼を伝えて、頭を下げると。
???
律儀だねww
どういたしまして、と彼は笑う。
???
あと...俺、ちゃんと名前あるからねww
茶目っ気たっぷりな仕草に、何やら周りが騒がしい。
凛
あ、すみません...聞いて居なかったので...
???
ああ、確かに教えて無かったかも...
痛い程の視線を感じる中心で、自己紹介を始めて。
聡海
聡海
桃谷聡海。クラスは3C、よろしくね
凛
2Cの香寺凛です。
よろしくお願いします、桃谷先輩!
私達の先輩後輩の関係が、出来上がった頃。
梨央
梨央
凛ちゃん!!
聞き慣れた幼馴染の声が、私の名前を呼んだ。
凛
梨央!先に教室行ってて良かったのに笑
振り返れば、心配そうに眉尻を下げる梨央。
梨央
梨央
だって心配で.....
優し過ぎる故に、私を置いて行けなかったのだろう。
凛
赤ちゃんじゃ無いのに...笑
でも、ありがとね
そっと頭を撫でれば、彼の表情は輝いて。
梨央
梨央
.........っうん!
犬みたいで可愛い、なんて言ったら怒られるから。
梨央
梨央
教室、そろそろ行こ?
凛
うん。ごめんね、待たせて
ここは素直に頷いた。
袖を引っ張られながら、桃谷先輩に向かって微笑む。
凛
先輩、本当にありがとうございました!
先輩も優しい笑顔で手を振り返してくれた。
凛
(出会いもあれば別れもあるって
こう言う事なのかな)
今も海外に居る日本人学校の同級生。
凛
(元気にしてると良いなぁ...)
ホームステイ先の家族や友達を思い出す。
凛
(少し寂しいけど。もう大丈夫)
飛行機の中で少しだけ恋しくなったりもした。
でも、この先は自信を持って笑顔で暮らせると言える。
.......何故なら。
梨央
梨央
.....凛ちゃん?どしたの?
私には、梨央が居るから。
凛
んーん。何でも無い!ほら、置いてくよ!
この先、彼に彼女さんが出来たとしても。
梨央
梨央
えっ、待ってよー!
仲の良い友達のポジションを譲る気は無い。
凛
待たなーいっ!笑
実質的に、2人で遊ぶ事は無くなるだろうけど。
凛
(幸せにはなって貰いたいけど...寂しいな笑)
家族が結婚する人の寂しさが分かったような気がした。
凛
ねー、梨央?
私にとって、梨央は家族同然だから。
梨央
梨央
.....り、凛ちゃん...早いってば...何.....
凛
え、あー...ごめんね笑
私が全力で走った所為で息切れして居る彼に謝りつつ。
凛
私の事、独りぼっちにしないでね
今までで1番不器用に言葉を紡いで、笑った。

プリ小説オーディオドラマ