第120話

徹夜.
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2023/05/06 05:09 更新
雄英高校は偏差値79の生徒が集まっているわけで、例えテストで赤点ギリギリだとしても、そこら辺の高校生よりよっぽど頭が良い。

本人の前で口に出さずとも誰もが桜羽の症状に気がつき始めていた。


「夢遊病、だよな……」


昼休みの賑わう食堂で、爆豪派閥はそろって昼食を食べている。

ふと、言い出したのは瀬呂だった。


「だよなぁ、アレ。調べてみたら通常はベッドに戻ることが多いらしいけど」


続けて上鳴が右手でグラタンを掬いながら口を開く。

切島も相槌を打ちながらハンバーグを食べ進める。


「もう発症して3日目だし、そろそろ対処法とか考えた方がいいんじゃねぇ?」

「って言ってもな。原因はストレスだっけ?」

「大きいのはそれだと思うぜ!」

「確かに初日以外のここ2日は発見された時うなされてるよな」

「あれ? でも夢遊病ってノンレム睡眠の時に起こるんじゃなかった?」


だんだん話し合いが深まっていくが、爆豪は一言も口を挟まない。

思うところがあったのか、切島が爆豪に問う。


「お前は心配じゃねぇのかよ?」

「……先帰る」


いつの間にか食べ終わったらしい爆豪はトレーを持って席を立った。

取り残された3人の視線が爆豪の背に集まる。


「おい爆豪!……クソッ、逃げられた」

「まぁ、アイツもさすがに心配してるだろ。彼女なんだし」

「そうだな〜 ……明日には治ってるといいな」







前日の上鳴の言葉が現実になったのか、翌日、桜羽はきちんと着替えて共有スペースに降りてきた。


「おぉぉ! 桜羽おはよー!」

「朝から元気だね三奈。おはよう」


あなたは「今日は大丈夫だったの?」「良かったね!」などと声をかけられてから、朝食の用意をする。

ふと訝しげな視線を感じて顔を上げると爆豪と目が合った。

びく、と肩を小さく跳ねさせて、目を逸らす。


(たぶん、バレてる)


支度を終えて、爆豪と共に寮を出る。

なんとなく気まずい空気が2人を纏う。


「……お前、寝てねぇだろ」

「あー……バレた?」

「ちょっと目が充血してンぞ」


言われて、桜羽はブラウスのポケットから手鏡を取り出す。

確かに寝不足の目をしているなと苦笑した。


「あまり覚えてないんだけど、最近夢見が悪くて。それで夢遊病のこともあるから、寝たくないなって思って……」

「…………」

「でも今週もあと2日だから、大丈夫」

「……ほんとかよ」

「大丈夫。前世ではよくあったんだよね」


爆豪にはあなたが嘘をついているようには見えず、何も言い返せなくなった。

心の中で舌打ちをして、歩くスピードを速める。

当たり前のようにすぐに真横に追いつくあなたを横目に見つめて、その顔色に、また舌打ちをした。







一日の授業を睡眠不足状態で乗り越えたあなたは、帰ってきて早々ベッドに飛び込んだ。

前世の鬼狩りで徹夜をするのと、学校の日に徹夜をするのとでは訳が違うと、やっと気がついた。

授業中は緊張感と勉強に着いていけなくなる焦りが相まって耐えられたが、ぼーっとした途端に眠気が襲ってくる。

よくよく考えれば寝ていても授業は耳に入るのだが、おっかない担任に除籍にされかねない。

あなたは深い深いため息をついて立ち上がった。

現在時刻は16時32分。

きっとあと15分もすれば文化祭の練習で共有スペースが賑やかになっていくだろう。

自分もそれに混ざろうと、まず制服を着替えることにした。

バックプリントのオーバーサイズTシャツとショートパンツを取り出して、制服を上から順に脱いでいく。

4月の頃はあんなに硬くて留めにくかったブラウスのボタンが今ではだいぶ留めやすくなった。

もうこちらの世界に来て7ヶ月。

夢でしか会うことのできない戦友を想うと心配が募る。

何せいつ死ぬか分からないのだから。

____しかしその戦友は、夢の中であなたを罵倒して苦しめている。

そんな人ではないと分かっていても、頭の隅に恐怖や落胆などの負の感情が存在してしまう。

夢の中ですら幸せになることが許されないあなたに、どうか報いを____。




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学校生活忙しくてなかなか書けん🫤

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