前の話
一覧へ
次の話

第1話

【序章】
10
2026/03/21 04:33 更新
那梨愛
あ〜、つまんな…
人気のない城内、一人の少年がポツリと独り言をこぼしながら左足を軸にくるくると回る

見た目は女の子のような綺麗な髪と顔立ちだが、声はしっかりとした少年の声__神野かみの 那梨愛だりあ、現国王の弟

青い瞳と黒い髪_国王とそっくりだ


…お前、なにしてんの?
そこに現れたのは _神野 すもも、現国王の弟で那梨愛の兄だ

桃色の髪に国王と同じ青色の瞳をしている

城内で一人で不審な行動をしていた弟に少し引いている
那梨愛
兄さんさ〜、結局どっち?
どっち、とは?
那梨愛
だから〜、兄さん…国王陛下かあの兄弟、どっち側?
…………
突然出された弟の質問に李は少し考え込む

綺麗な青色の瞳を揺らし、悩んでいるように見える
那梨愛はどっち?
那梨愛
もちろん国王陛下でしょ
那梨愛
そう、教育されてきたし

那梨愛は命令に従うことが生きる意味だと言っていた

その命令がなくなれば、どうするかもできなくなるため、兄の肩を持つのだろう

だからあの人の死刑執行も手伝って… 


それに、神野一家では夜桜家に入り込むことを代々目的としてきたため、那梨愛にとっては当たり前のことなのだろう
そう…
李は結局、弟の質問に答えることなく背を向ける

先程の弟の質問に対して逃げるように足を速める


李は国王陛下側なのか、反国家と呼ばれる例の兄弟側なのか、まだ分からない










あっ、…
なんだ、お前か
歩いた先にいたのは、書斎の本を読み漁る国王がいた



黒い髪にハイライトのない深い青色の瞳、長い髪を緩く一つに括り、何処か威圧感がある
何かお探しですか?
さぁな…
李の質問に国王はそっけなく返す

本当に探しているものはないのか、それとも、教えることすら面倒と感じたのか…


国王は、変わってしまった

昔はもっと優しい性格で、神野一家の考えにも反対的だった

政略結婚した女王も愛し、子どもたちのことも同じく愛していた

国民の安全と安心を第一に考え、いつも笑顔を見せていた心の優しい方だった

が、数年前、この書斎で黒の魔導書を開けてしまい…昔の国王の面影は一切なくなってしまった

城から全員追い出し、妻を殺し、子どもを殺し、他にも多くの人にたくさんの不幸を与えた

今もなお、グレイズを生み出し、国民の命を脅かし、この国を独裁国家に仕立て上げた
那梨愛は?
先程庭に歩いていくのを見ました
そうか







国王が何をしたいのか、誰にも分からない

それでも、李は国王のそばを離れない





  








いつか誰かが、兄を救ってくれると信じて、今でも_





反国家だのグレイズだのわかんねぇよって思うかもしれませんが、次回説明します!

プリ小説オーディオドラマ