《AnotherStory》闇夜の太陽:10/10話
10話【それぞれのはじまり】2/5P
47/50P┃2500字┃再投稿用変加筆済
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
それからサボさんは[原作の流れ]と同じようにルフィが目覚める前に[ドレスローザ]を後にした。
サボさんを見送った帰り道、二人で歩きながら彼がいない寂しさを紛らわすかのごとくに話をする。
「あの、エースさんはルフィが起きるまでいますか?」
「……多分……起きてもいる、かな」
(???)
きまず気に軽く言い淀むので先をうながす。
「嬉しいんですけど………[白ひげ海賊団]の仲間達のところには帰らなくていいんですか?」
「あー………あれから『白ひげの残党狩り』とか言ってさ、ティーチ達[黒ひげ海賊団]や[海軍]と他の海賊共………たくさんの奴が直接やナワバリの奇襲をして戦闘になったんだよ。世には[落とし前戦争]って言われてたヤツ」
(………!!そっかそっか!なんか他人事って言うか、私にはめちゃくちゃ[読者視点]なことだったけど、そりゃエースさん達にはふつうのヤバい問題だよね……)
「オヤジが率いた[白ひげ海賊団]はどっかを本拠地にしてたワケじゃねェから、オヤジもモビーもねェ状況では全てに勝ち続けられなくてな。今は隊長達も船員達もバラバラになっちまってる。だからもう『帰りてェ』ところは無ェんだ」
(う"っ!!この人も……)
遠い目をしながらせつないことを言って、哀愁を誘う背中がただただせつない。
長い間[世界最強の海賊団]と言われて君臨してて、幹部も船員も傘下も《能力者》も明らかに他とは違う人数とレベルを持っていただろうに………その人達が『勝ち続けられない』ってどれだけなんだろうか。
(戦力だった《グラグラ》も《メラメラ》も無い状況で、だけど…)
『だから………』と思い、顔を上げてエースさんの方を向く。
「……すみません、エースさんも戦いたかったですよね。『約束』で縛ってしまいました…」
「確かに『約束』はあった。でも表舞台には立てねェでバレねェようにこっそりと参戦も助力もしてたからな。マルコやイゾウ、他にも何人かの隊長達にはバレちまったからちゃんと口止めしといたぜ。はは、ちっともニュースにならなかったのが答えだろ」
「!!…ですね。ありがとうございます」
「おれもこの2年の間、なにもしてなかったワケじゃねェんだよ。これからもバリバリ強くなって、世界最強の[白ひげ海賊団]をもう一度復活させてやるんだ!!」
大望を言いきったエースさんの熱い闘志に燃えているその体は本当に燃えていた。
(もう闇雲に一人で突っ込んで行かないのを見るとエースさんも成長してる?さすがに懲りてるのかな。…良かった良かった)
「だからさ、思ったんだよ。ルフィも一人前になってきたし、あいつの側に居たら強化に事欠かねェだろ」
「あああ、はい、確かに、そう、ですね……」
(うん。ルフィも仲間達も元々技量も根性もレベチだったけれども………みんな[海賊王の船員]を意識してるから、色んな経験値をそんなにムダにはしない)
「昔からルフィは事情がある時ぁどんなトコでも突っ込んで行っちまう奴だったからさ──!今も[七武海]やら[四皇]をフツーに相手にしてんだもんな!!」
「は、はい」
(勝つからイイけど主人公ってマジすごい…)
「ビック・マムにもケンカ売ったってぇし、次はカイドウんトコだろ?おれも[ワノ国]には『約束』があっからな。そんな面白れェの放っとけねェよ!」
楽し気に言って笑う顔をながめて思う。
(きっと[弟]が心配で、そんな風に言ってるんだよね、この人は)
なんか『黒ひげが最後のボス』みたいになったから、色んな衝動をルフィの件でセーブされてるんだといい。
(さりげなく言った、その『約束』って………大丈夫。この[私の二次創作のストーリー]ならきっと叶えられるから)
色々と込み入った話までしてくれているエースさんの笑顔に、なぜだか泣きたくなる。
「あなたのナマエはルフィと一緒に行かねぇのか?」
「んー[ゾウ]に行ったら決めます。でも私は子供がいますし、コラさんと一緒にいたいのでどうなるかは分かりません。彼は[革命軍]の人ですからね。海賊船に乗るのか………でも叶うならきっとローと一緒に居たいんだと思いますよ」
「そっか!………あれ?そのローって確か超新星の【死の外科医・トラファルガー・ロー】か?奴はルフィと[同盟]組んでんだろ。ならもう少し一緒かもな!」
「あ、そうですそうです!じゃあ本当にどうなるか分かりませんがそうなるんでしたら、よろしくお願いします」
「おう。あなたのナマエもおれが守ってやるよ!!」
「ありがとうございます。超助かります!」
(エースさんの話を聞いてビックリした!)
コラさんが[革命軍]の人になっていたのにもメチャクチャおどろいたけれど『彼らが生存の場合はこうなるのか』みたいな。パラレルワールドだけどステキな展開。
(すごくイイ……)
[原作通り]のお話だったら[ゾウ]で[ワノ国]の人達と『みんなで同盟!』な時に彼らがそこにいる。
(……あぁ…ステキ…)
じんわりしていると突然エースさんに額から撫でるように髪を掬われて、そのまま頭を撫でられた。
(…い、いきなり、なに!?)
ナゼにそんなことをしてくるのかは分からないけど、独特な温かさが『助けられた時』の体温を思い出してしまって、血が上る顔を必死に振らずにはいられない。
(寂しいのかな……?…まぁ、私くらいの距離の人の方が弱音や弱味や本音なんかも出せる場合があるか……)
一瞬だけで続かなかったエースさんにそんな風に思う。
のちの[ワノ国編]の戦いにはマルコさんもイゾウさんも参戦するんだから、エースさんがいてもフシギではない。むしろ行きたいだろう彼がいるのにいない、行けるのに行かない、のはかえって変な感じになる。
そもそも[百獣ひゃくじゅう海賊団]との闘いには戦力が多いに越したことはないのだから。
(少しは元気になれるとイイな……)
こうなると私も戦えないのが残念だ。
(せめてこの力が《自然系》だったら覇気使い相手じゃない限り危なくないのに。でも命を扱う《メイメイ》は魂を扱う《ソルソル》と近い能力。え、もしかして戦うの可能?攻撃系には開発してなかったけどイケるの?)
「………………………………」
まずは『闘える体が絶対に必要』と密かに拳をにぎる。
────────────────────
変加筆〔2024,04,25〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!