第48話

玖章『リブート、』
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2024/03/24 14:41 更新
〈美波side〉
スタ...スタ...スタ...
私は雨の降る中、
まだ誰もいるはずのない学校へと向かっている。
流石に先生方はちらほら居るだろうが、
生徒は誰一人居ないであろう早朝に歩いている。

制服だけ着て、何も持たずに。

理由は先程のニュースにある。
先程見たニュースで、
私の大好きで大切な親友と、
その子の好きな人が亡くなったと報道があったのだ。
どうして死んでしまったのか、
誰かに殺られてしまったのか、はたまた自殺なのか...
現場に残ったのはナイフだけのようで、
考えても死因は分からないままだ。
まぁ、ショックが大きすぎて、
そんなことを考えている余裕も気も、
今はもう無いけれど。
ただ、ただ、私は学校へと歩いている。
失望感と哀しさと絶望が
じんわりと私の心を満たす中、ただひたすらに。
人通りの少ない道を歩き続け、私は学校に着いた。
桃山美波
桃山美波
門、空いてる...
早朝だが一応登校可能時間であるため、
校門はしっかりと開け放たれていた。
私は静かに校門を通り、昇降口へと向かった。
ゆっくりと靴を脱いで、靴箱にしまう。
いつもなら、莉音と一緒にここに来て...
いつも通り話をしながら靴をしまっていた。

だが今は、あたりまえだけど独り。

もう二度と、あんな平和な日常は戻らない。
その事実が、とても苦しくて、哀しい。
平和な日々を思い出しながら、私は階段を上る。

まだ生徒の誰もいない静かな校内を、
あたりまえだが物寂しく感じながら。
スタ、スタ、スタ...
私の足音だけが、廊下に響き渡る。
朝なのになんだか不気味だな、
そんなことを思っていたら...
タッタッタッ...
桃山美波
桃山美波
...?
もう1つ、私以外の足音が響いた。
桜田風真
桜田風真
美波...っ!
風真の声...なんで?どうしているの...?
桃山美波
桃山美波
...なんでいるの...?
桜田風真
桜田風真
お前が学校行くの見かけて、
追いかけてきた。
桃山美波
桃山美波
そう...
桃山美波
桃山美波
なんか私に用だった...?
桜田風真
桜田風真
いや...別に。
俺も学校行こうとしてたから。
彼はそう言って、
柔らかく、そして哀しそうに微笑んだ。
桃山美波
桃山美波
桜田風真
桜田風真
...俺も一緒に行っていいか?
桃山美波
桃山美波
...うん
そっか...。
風真も、私と同じ目的でここに来たんだ。

こんなところ似るなんて、本当嫌になっちゃう。

なんて、そんなことを思いながら、
二人で屋上へと向かった。
ガチャっ...
桜田風真
桜田風真
お、開いてる
桃山美波
桃山美波
ここ最近屋上の鍵なくなったらしいよ
桜田風真
桜田風真
え、まじ?
桃山美波
桃山美波
本当。
本来の鍵が紛失してて、
その後天文部の人が持ってたスペアの鍵も今ないみたい。
桜田風真
桜田風真
そりゃ大変だ...w
そんな話を交わしながら、私と風真は扉をくぐった。
桃山美波
桃山美波
...ここ来るの、懐かしいね
桜田風真
桜田風真
ん...?あー、1年の頃よく4人で来てたな
桃山美波
桃山美波
あの頃は本当に楽しかった...
一緒にお昼食べたり、
放課後遊んだりしてね...w
桜田風真
桜田風真
なw
桃山美波
桃山美波
てか、ここフェンス低いのやばいよねw
桜田風真
桜田風真
だよなw
桜田風真
桜田風真
この低さなら飛び降りるやついるよなw
なんて笑いながら、2人でフェンスを跨ぐ。
先ギリギリに立って、私たちはそのまま話を続ける。
美波と風真
私・俺たちみたいにw
...やっぱり私たちって似たもの同士みたいだ。
桜田風真
桜田風真
ぴったり揃ったなw
桃山美波
桃山美波
ねw
桜田風真
桜田風真
やっぱ似てんのな〜w
親友と友達が死んでしまっているのに、
私達もこれが最期の時間なのに...

今はただ、一緒に笑うことしかできないみたいだ。
いや、最期だからなのかな。
桃山美波
桃山美波
もう準備できた...?
桜田風真
桜田風真
んー...後ちょっとだけ話さねぇ?
桃山美波
桃山美波
まぁ急ぐことじゃないしいいけど...
桜田風真
桜田風真
さんきゅ。
普通なら立ち竦んでしまうであろう場所に
私たちは立っているが、
今は風が心地よいと思えるほどに落ち着いていた。
桜田風真
桜田風真
...あー!!
桃山美波
桃山美波
桃山美波
桃山美波
急に何!?
桜田風真
桜田風真
あぁ、ごめんごめんw
桜田風真
桜田風真
いや、莉音達今頃何してんのかなーって
桃山美波
桃山美波
あー...
さっきまで莉音達のことを考えると
絶望感しか無かったのに、
今はもうすぐそっちに行ける安心からか、
全く苦じゃなくなっていた。
桃山美波
桃山美波
まぁ、いつも通り天国でイチャついてるんじゃないw?
桜田風真
桜田風真
あー、そりゃ俺が止めに行かなきゃだわ
桃山美波
桃山美波
やめなさいww
殺されるだけなんだからw
桜田風真
桜田風真
そりゃそうかw
桃山美波
桃山美波
てか、ちゃんと莉音に告白できたの?
桜田風真
桜田風真
あー...実はしてないんだよね...w
桃山美波
桃山美波
は!?なんで!?
桜田風真
桜田風真
いや、ちょっとひよった感じ...w?
桃山美波
桃山美波
ひよったって...
嘘...じゃあ結局言えずじまいってこと...?
告白しとけばよかったのに...

そしたら、少しは私の気持ちも楽だったのにな。
桜田風真
桜田風真
結局言えずに終わっちまうのかー...
桜田風真
桜田風真
ってか、美波は好きなやついねぇの?
桃山美波
桃山美波
えっ...
思わぬ質問が来てしまった...
目の前にいるんだけど...

まぁ、最期だし少しは素直になってみる...?
桃山美波
桃山美波
...いたよ。
桜田風真
桜田風真
え!?いたのかよ!?
桃山美波
桃山美波
私だって恋のひとつやふたつしますー!
まぁ、実際には1人しか好きになってないから、
恋はひとつしかしてないけれど。
桜田風真
桜田風真
マジかよ...ここに来て衝撃事実...
桜田風真
桜田風真
なぁ、せっかく最期だし教えろよー!
桃山美波
桃山美波
え〜?
桃山美波
桃山美波
...まぁ最期だしいいけど
桜田風真
桜田風真
よっしゃ!
普通に教えるなんて私らしくないから...
ちょっと意地悪してみようかなw
桃山美波
桃山美波
じゃ、本当に1回しか言わないからね?
桜田風真
桜田風真
おう!
...これが私が言える限界だよ。風真。

桃山美波
桃山美波
...今日は月が綺麗ですね。
桜田風真
桜田風真
...え?
...やっぱり風真じゃ気づかないかな。
桃山美波
桃山美波
星も綺麗ですね。
国語が苦手な風真には、少し意地悪過ぎただろうか。
少し回りくどい告白をした私は、
伝えても伝わらない想いに少し落ち込んだ。
だがその直後、風真が少し頬を赤らめながら告げた。
桜田風真
桜田風真
その月は..."死んでもいい"程綺麗ですね
桃山美波
桃山美波
!!
私は思わず目を見開いた。
そして風真の言葉を理解し、嬉しさで涙を流した。

でも莉音が好きだし、今はそんなことないはず。
だから昔のことだって、分かってはいるけど...

今はただ、少しでも想ってくれていた事実が嬉しい。
桜田風真
桜田風真
お、おい泣くなって...
桃山美波
桃山美波
ごめん...
桜田風真
桜田風真
実は莉音と出会う前は、
美波のことが好きだったんだ。
桜田風真
桜田風真
莉音に一目惚れしちまったけど...
桜田風真
桜田風真
初恋は美波だったんだよ。
桃山美波
桃山美波
そっか...
桜田風真
桜田風真
莉音に出会う前に伝えようとしてたんだけど...ひよって伝えられなくてごめん。
桃山美波
桃山美波
伝えてくれてたら、
私こんなに苦しまなかったのに...
桜田風真
桜田風真
ほんとごめん...
桃山美波
桃山美波
...嘘だよ
桃山美波
桃山美波
伝えてくれてありがとう。
桜田風真
桜田風真
...こちらこそ。
美波と風真
...
美波と風真
あははっww
思わず2人で吹き出してしまった。
桃山美波
桃山美波
なにこの私たちらしくない素直な会話w
桜田風真
桜田風真
ほんとだよww
桜田風真
桜田風真
莉音たちが見てたらめちゃくちゃバカにされてたんだろーなw
桃山美波
桃山美波
それは間違いないww
桜田風真
桜田風真
はーw
隣で笑う風真を見て、私はしみじみと思う。
私、一瞬でも風真の1番になれてたんだ...。

やっと、私の想いが報われた気がする。
桜田風真
桜田風真
じゃあ...そろそろ行くか?
桃山美波
桃山美波
...そうだね
そろそろお別れだ...

少し名残惜しく感じた私の脳内に、
ひとつのわがままが浮かんだ。
...最期くらい、言っても怒られないかな。
桃山美波
桃山美波
ねぇ...風真。
桜田風真
桜田風真
ん?どした?
桃山美波
桃山美波
今わがまま言ったら困る...?
桜田風真
桜田風真
...最期だし、困んねぇよ
桃山美波
桃山美波
ありがと...
桃山美波
桃山美波
じゃあさ...
桃山美波
桃山美波
手、繋いで終わろう...?
風真は少し驚いた顔を見せ、
その後柔らかく、少し照れくさく微笑んだ。
これが、私の最初で最期に言う風真へのわがまま。
桜田風真
桜田風真
しょうがねぇなぁ...w
桜田風真
桜田風真
いーよ。ほれ。
桃山美波
桃山美波
ん、ありがと...///
私は風真の手に自分の手を重ねた。
そして優しく2人で繋ぎ合う。

風真の手はじんわりと熱を帯びていた。
桃山美波
桃山美波
なんか照れるね...w
桜田風真
桜田風真
お前が望んだんだろw
桃山美波
桃山美波
そーだけどw
ずっと好きな人の手。
ずっと繋ぎたかった手。
それが今私の手と重なっている。
その事実を噛み締めながら、最期の会話を交わす。
桜田風真
桜田風真
じゃあ...今度こそ行くか。
桃山美波
桃山美波
...うん。
私と風真は見つめ合う。
桃山美波
桃山美波
じゃあね、風真。
桜田風真
桜田風真
あぁ...じゃあな、美波。
そして最期に約束を交わした。
美波と風真
また来世で。
こうして私達は身を投げ出した。
私たちを雨上がりの空が優しく照らす。
短い人生だったけど、私は幸せだったな。
目を閉じながらそんなことを思っているうちに、
全身に衝撃が走った。

そろそろこの世ともお別れだな。
私は残った力で閉じていた目をもう一度開き、
明け方の空に向かって小さく微笑む。
また来世で、みんなと繋がれますように。
最期に私は空に願った。
願った空は、とても暖かく優しくて...綺麗だった。
ゆい
ゆい
はい...!
ゆい
ゆい
読んでくれてありがとうございます...!
ゆい
ゆい
どうだったかな...?
ゆい
ゆい
悲しいけど、
綺麗な物語になったと思います...!
ゆい
ゆい
これで推しペア変わった子もいるんじゃないかな...?
って個人的には思ってますw
ゆい
ゆい
まぁそれはさておき...
ゆい
ゆい
次は本当に完結します...!
ゆい
ゆい
次回、零章『Re-start.』
ゆい
ゆい
お楽しみ...!

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