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第6話

6話 生徒会(チームK)
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2026/03/13 06:15 更新
ケイ
ケイ
さて、やっと順番が回ってきたか。ここが生徒会室だ
ケイは教室の扉を開け、あなたを中へ通した。
あなた
おじゃましまーす...
あなたが来たことで、中にいた全員が彼女の方を振り返る。
銀星
銀星
姫。来てくれたんだね
ソテツ
ソテツ
お、あなたじゃねーか
吉野
吉野
あなたさん。こんにちは
あなた
こんにちは皆さん
夜光
夜光
今日は見学、なんだっけ?ゆっくりしていってね
夜光
夜光
と言っても、見せられるものなんてあるのかな...
生徒会には基本的になにか決まった仕事がある訳ではない。しかしだからといって暇な訳ではなく、常に書類対応や学校行事の対応に追われているのだ。
銀星
銀星
あ、ギィ。そっちの書類、持ってきてくれないか。確認事項があるんだ
ギィ
ギィ
……わかった
書類には今後の行事まとめがプリントされていた。それに間違いがないか、銀星が確認している。
あなた
そういえば、来週は公演がありましたね
ケイ
ケイ
ああ。今回はダンス部の公演が控えている
ケイ
ケイ
流れに一通り目を通しておかねば
あなた
大変ですね
この学園では軽音部、ダンス部、演劇部、バンドチームの、一般にも向けての公演会が開かれている。
そして特別ステージとして生徒会も加わり、公演を行っているのだ。
ケイ
ケイ
これくらい大したことはない
ケイ
ケイ
それもこれも、全ては君の為だ
また訳の分からないことを言っているケイに、あなたは当然意味も分からず苦笑いをした。
あなた
(……仕事と私は関係なくない?)
今も仕事があるのに部活見学をしたりなど、彼女優先な所にはあなた自身も不思議に思っていた。

どうしてケイがそこまで優しくしてくれるのか、何故あなたのことを知っているのかも分からない。
聞いた所で、どうせ彼は答えてはくれないのだから。
あなた
(皆さん忙しそうだな...こんな時に私、見学してていいのかな?)
あなた
あの、私も手伝います!何かお手伝い出来ることはありませんか?
周りが仕事をしている横で、見てるだけにはいかないとあなたは思ったのだ。
ケイ
ケイ
気持ちは嬉しいが、見学者としてここにいる君に、仕事はさせられない
ケイ
ケイ
どうか、ゆっくりしててくれ
ケイはギィに、あなたが座れる椅子を持ってくるよう指示した。
ギィ
ギィ
あなた、座って
あなた
あの、でも...
ギィ
ギィ
ケイがゆっくりしててと言った。だからアナタはそうすればいい
ギィ
ギィ
だから座って
ギィが椅子の背を持ち、彼のその真顔に圧を感じ、あなたは引けずに座るしかなかった。
あなた
すみません...
あなた
(これじゃあ見学させてもらってる意味がない...)
吉野
吉野
まあ生徒会の仕事だからね。僕らがやらないと
夜光
夜光
確かに。こんなことまであなたさんに頼るのはよくないよな
それでもあなたは、一人だけゆっくり休むということに罪悪感があった。
あなた
(皆さん忙しそうだし、何も知らない私が手伝うとかえって迷惑かも)
あなたは、黙って生徒会の仕事を見てることにした。

自ら見学を希望した彼女だが、もっと余裕がある時に来れば良かったと後悔もした。
あなた
(でも、黙って見てるだけじゃ分からないこともあるし...うーん...)
どうするべきか悩んでるあなたの肩に、ソテツが手を置いた。
ソテツ
ソテツ
なに一人で考え込んでるんだ?話くらいなら聞いてやる
ニヤニヤしてるソテツを見たあなたは、彼が何か企んでる、もしくは面白がっているのだと確信した。
あなた
い、いえ...結構です...
ソテツ
ソテツ
遠慮するなよ。話したら楽になることだってあるだろ
ソテツがあなたとの距離を詰め、彼の顔が彼女の目と鼻の先まで迫っていた。
あなた
ち、近いですっ...!
ソテツ
ソテツ
...何に悩んでるんだ?話してみろよ
ソテツのとてつもない低音ボイスに、あなたは顔が熱くなる。しかしそれをケイが許すはずもない。
ケイ
ケイ
それは、命を捨てる覚悟があるという認識で構わぬな?ソテツ
ケイ
ケイ
...でなければ彼女から離れろ
ソテツ
ソテツ
おおっと...怖い怖い
口では怖いと言っても、当の本人は笑っている。そんな彼に、あなたは相変わらずだと感じた。
ケイ
ケイ
……………
悪びれもないソテツを、ケイはじっと睨んでいる。
ソテツ
ソテツ
っははは!悪かった。そんなに怒るなよ
今のケイに、ソテツの冗談は通じないようだ。今も、彼はソテツを睨みつけている。
ソテツ
ソテツ
ま、ケイがいない時にでもゆっくり話すか。あなた
あなた
(何でソテツさんは火に油を注ぐようなことを平気で言うんだろ...)
あなた
(やっぱり面白がってるよね?)
あなたが呆れていると、吉野が割って入った。
吉野
吉野
ソテツ、その辺にしてあげなよ
吉野
吉野
それより公演の申請書、外部に渡すよう手配した?
ソテツ
ソテツ
あー...そうだったな。忘れてた
吉野は仕事をしない彼に、頬を膨らませた。
吉野
吉野
ちゃんと手配しといてよ。申請書はもう出来てるんだから
銀星
銀星
ケイ、今回はどこに申請するんですか
ケイ
ケイ
今回は、理事長の知り合いが運営しているパークで内での公演になる
ケイ
ケイ
ダンス部に是非公演をして欲しいらしい
銀星
銀星
パークって...あそこの新しく立った遊園地の?
ケイは軽く頷き、再び書類に目を通す。
夜光
夜光
へえ...そこから公演をして欲しいだなんて、ダンス部はすごいんだな
銀星
銀星
そうだよな。これが最近できた部活だから、尚更
ダンス部は、モクレンが二年間抗議した結果の末にできた部活だ。
まだ知れ渡るまでに時間がかかると思っていたが、ダンス部の結果は目まぐるしいものだった。
ギィ
ギィ
...指名されるのはすごい?
あまりよく分かってないギィに、夜光は「もちろん」と答えた。
夜光
夜光
指名ってことは実力を買われてるってことだからね。やっぱり指名されるのはすごいよ
ギィ
ギィ
ダンス部は、実力を買われた。だから指名された?
夜光
夜光
ああ。それだけ認められてるってことだから
ギィ
ギィ
実力を認められると、指名が来る。生徒会もそうなる?
今度は近くにいた吉野が答える。
吉野
吉野
うーん...どうだろ。生徒会はあまり公演をしないからね
ギィ
ギィ
公演したら、指名される?
吉野
吉野
実力があればそうなるかもね
ソテツ
ソテツ
何だギィ。お前、もしかしてダンス部が羨ましいのか
ソテツの質問に、ギィは少し困ったような顔をした。
ギィ
ギィ
……よく分からない。でも最近は、公演をやってない
吉野
吉野
つまり、ギィも外部公演したいってこと?
ギィ
ギィ
…多分、そう。公演をやりたい
吉野
吉野
珍しいね。ギィが公演をやりたいだなんて
自分の意思で公演を行いたいとギィが言ったので、その場にいる全員が彼の成長を感じていた。
ギィ
ギィ
ケイ、ボクは公演をやりたい
ケイ
ケイ
……何故だ
ギィ
ギィ
分からない。けど、そうしたいと思ったから
ケイ
ケイ
なるほど...だが今回はダンス部が公演をする。これは決定事項だ
あなた
ケイさん...!
ケイが容赦なくギィの要望を断ったので、あなたが少し注意をしようとした。
ケイ
ケイ
だが機会があれば、次回は生徒会に回ってくることもあるやもしれぬ
ケイも、ギィの成長を感じて配慮をしたようにそう言った。
ギィ
ギィ
公演ができる?
ケイ
ケイ
可能性の話だ。公演が出来るかは保証しかねる
それでも、あなたとギィは嬉しそうだった。
あなた
良かったですねギィさん!
ギィ
ギィ
うん。良かった...のかもしれない
そこでソテツは頭を軽く搔き、大きなあくびをした。
吉野
吉野
ちょっとソテツ。あなたさんのいる前で、そんなあくびしないでくれる?
ソテツ
ソテツ
んあ...あぁ、悪いなあなた
あなた
全然構いませんよ。寝不足ですか
ソテツ
ソテツ
いや?資料の山を整理するのは何の面白味もないと思ってな
ソテツの返答に、吉野は呆れた。横にいるソテツにあくびをされると、吉野にも移ってしまう。
ソテツ
ソテツ
ただ生徒会は六人いてもこの忙しさだ。全く勘弁してもらいたいぜ
あなた
そうですよね...私に何かできることはありますか?
そこでソテツは、あなたに悪い顔をして見せる。それにあなたは、何かイヤな予感を感じた。
ソテツ
ソテツ
お前が生徒会に入ってくれると、やる気も起きるんだがなァ
あなた
やっぱり、その方がいいんですか?
ソテツ
ソテツ
お前がここにいて、俺だけ見てくれれば仕事にも身が入るってモンだろ?
あなた
は、はぁ...?そうなんですね
ソテツが冗談なのか、本気で言っているのか分からないあなたは、曖昧な返事しか出来なかった。
ケイ
ケイ
ソテツ。あなたに強要するな
ケイ
ケイ
あなたが入る部活は、彼女自身が決める
ソテツ
ソテツ
強要?人聞きが悪いな。俺はただ勧誘してるだけだぜ
ソテツ
ソテツ
お前だってあなたに入ってもらいてぇだろ?
そのことにケイは否定しなかった。彼もあなたに、生徒会へ入って欲しいのだ。
吉野
吉野
だからってそんな誘導みたいな勧誘はやめなよ
吉野
吉野
あと、やる気は自分の問題でしょ
吉野の注意に対し、ソテツはため息をついた。
ソテツ
ソテツ
へーへー、わかったわかった
吉野
吉野
すみません。あなたさん
あなた
い、いえ、むしろ勧誘してくれてありがたいです
ギィ
ギィ
……ボクも、あなたには生徒会に入ってもらいたい
ギィもあなたのことを勧誘したので夜光は少し唖然とした。
銀星
銀星
え、ギィまでどうしたんだ?
ギィ
ギィ
生徒会に入れば、今よりももっとアナタを守れる
ギィ
ギィ
だがらあなたにはここに入って欲しい
ギィはあなたの手を取って優しく握る。彼の手は少しひんやりしていて、握られているととても心地が良かった。
ギィ
ギィ
……アナタを守るだけじゃダメ?
ギィの少し寂しそうな表情と距離の近さに、あなたは顔を赤くした。
あなた
(ギィさん...近い...!)
ギィ
ギィ
...アナタがここに入る理由、まだ足りない?もっと必要?
質問攻めのギィに、あなたは首を横に振った。
あなた
い、いえいえ!その、ただ...まだ決めかねてますので...
ソテツ
ソテツ
珍しいこともあるモンだ。あのギィが積極的に勧誘してるぜ?
吉野
吉野
よっぽどあなたさんに入ってもらいたいんだね
吉野
吉野
まあ、ギィが彼女に懐いてたからって言うのもあると思うけど
ソテツ
ソテツ
まさに忠犬、って感じだな
銀星
銀星
いや、感心してる場合じゃないだろ...ちょっと止めた方が良くないか?
ギィが中々離してくれないので、あなたは困り果てている。するとケイがギィを止めようとした。
ケイ
ケイ
ギィ、あまり彼女を困らせるな
ギィ
ギィ
でも、ケイだってあなたには生徒会に入って欲しいと思ってる。違う?
ケイ
ケイ
………だが無理強いはするな。それは彼女にとって迷惑になる
あなた
えっ、いや、その...迷惑って訳じゃ...
するとギィは、あなたの手を離した。
ギィ
ギィ
……無理強いは、良くない。ボクは、あなたを困らせてる?
困ってるのは事実だが、ギィに面と向かって言われればあなたも首を縦には振れない。しかし彼女にとって勧誘してくれるのは嬉しいし、迷惑など思ってはいない。
あなた
え、えーっと...
夜光
夜光
ギィ。あなたさんが困ってるから
ギィ
ギィ
また困らせた?ごめん
あなた
い、いえ...大丈夫ですよ
ふと、吉野が外を見ると、空がうっすらと暗くなりかけている。
吉野
吉野
もう暗くなってきた。あなたさんはそろそろ帰った方がいいんじゃないかな
ケイ
ケイ
確かにそうだな。あなた、寮まで送ろう
あなた
あ、ありがとうございます
あなた
あの、皆さん。忙しい時に見学させていただいて、ありがとうございました
あなたは二回お礼を言って、深く頭を下げた。
銀星
銀星
お礼なんて不要だよ姫
銀星
銀星
アンタに見られてると、俺たちは仕事が捗るしさ
銀星がそう言うと、ソテツが彼の肩に腕を置いた。
ソテツ
ソテツ
そりゃそうだな。いつでも見に来てくれて構わないぜ?
吉野
吉野
また見学したくなったら言ってくださいね。歓迎しますから
ギィ
ギィ
ボクは、アナタを待ってる
夜光
夜光
この見学が、ここに入るきっかけになればいいけど
あなた
皆さん...
ケイ
ケイ
さあ行こう。あなた
あなたは扉の前でもう一度会釈をし、生徒会を後にした。

あなたは寮に帰った後、一人ベッドの上に仰向けに寝転がっていた。
あなた
皆さん…とても優しくしてくれて…正直、迷うな…
あなたは目を閉じ、しばらく考えてから目を開けた。
あなた
よし、決めた!

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