第13話

#13 ~最終話~
349
2018/12/04 14:16
秋くらいまでここに居ようかな。
風強いなぁ…。
あ、NEWSのポスター。
新しいCD出すんだ。
あなた
すいません、チェックインしたいんですけど。
ホテルの人
はい。お名前を聞いてもよろしいでしょうか?
あなた
──です。
ホテルの人
かしこまりました。
390号室です。
あなた
ありがとうございます。
私は、東京から遠く離れた熊本県に来ていた。
監禁されてから2年。
出来るだけ見つからないように、と色々なところを転々としてきた。
今さら会ったって、合わせる顔がない。
エレベーターを待つ。
あなた
3階だよね…。
私はエレベーターに乗り、③のボタンを押した。
私は知らなかった。
2年もの間、あの人の怒りを買っていたことに。
エレベーターを降りる。
貴久
へぇ~?
俺のこと差し置いて一人で旅行とは。俺たち付き合ってたんじゃないの?2年間もどこをほっつき歩いてたのさ。
あなた
………増田くん。
貴久
増田くん?
あなた
…まっすー!!!(腕に飛び込む
貴久
はいはい、カッコつけて失踪なんてしないでよ。なにが『約束守れなかった』だ。現在進行形でしてることが一番約束守れてないよね。
貴久
あなたは約束しなくていい。
これから、なにがあっても、絶対に、俺があなたのこと離さないから。
あなた
大好き…。
貴久
うん、知ってる。
あなた
私だって、本当は距離置きたくなかった。
貴久
うん。
あなた
まっすーの横に、ずっといたかった。
貴久
うん。
あなた
彼女として、支えてあげたかった。
貴久
うん。
あなた
…本当に、大好き!
貴久
うん、俺も。
ねぇ、外見てよ。
あんなに、さくらがきれい。
貴久
…あなたみたい。
あなた
え?
貴久
あのさくら、綺麗に舞ってるよね。
貴久
別れたときの背中、あのさくらにそっくり。
あなた
じゃあ、もう散らない。
貴久
大丈夫、俺が散らせないから。
───籍、入れよう。
貴久
繋いだ手、離さないから。

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