そう言って私のバッグを持つ虎杖くん
君はやさしいね。
やさしい君が好きだから告白した。運命の人は君しかいないと思った。
悠二くんはやさしいから暇を縫って私とデートしてくれる。
疲れてるはずなのに。
俺が行きたいの!なんて言っていろんなとこに連れ出されてきた。
でもね、
私は術霊が見えない。だから何が起こってるとか何もわからない。
でも一つだけわかることがあるの。それはね、
『術霊が出たら虎杖くんがいなくなっちゃうの』。
きみはやさしいから。少しでも人助けがしたいんでしょう?
きみはやさしいから、彼女の私を置いてでも人を助けに行くの。
でも私はやさしくないから、虎杖くんに行ってほしくないの。
なによ。泣かないでよ。
早く「人助け」してきてよ。私の前からいなくなってよ。
そんな顔でこっちを見ないでよ。そんな申し訳なさそうな顔しないでよ。
そんな、謝らないでよ…。
気づいたら目から大粒の涙が出てて、一人で泣きじゃくってた。
あんな顔されたら私が、…私が悪いみたいじゃん。
あんなにいなくなってほしかったのに、いざいなくなられると寂しくて。
最初のころはこんなことなかったのに。最初のころは.....!
今更過去のことを思い出したって気持ちは変わらないの。
次の日、私のメールに「虎杖くん」という人物はいなかった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。