カランカラン
ドアのほうを見ると背丈が高くて白髪の常連さん。
私の目の前の高い椅子に軽々座る
からんと高級そうなグラスに氷をいち、に、さんこ。
そこにカシスリキュールを入れ、オレンジジュースを注ぎ込む
カウンターに頬杖をついてこちらをじっと見詰めるアクアマリンのような瞳。
舐めているかのようにニヤニヤとしているその顔は不思議と嫌に感じない
急に何を言い出すかと思えばそんなこと。
さっと作り終えたカシスオレンジを差し出す。
整った顔が微かに火照る。お酒が弱いのは意外と思うのは、そのほかが完璧だからなのかな
なんてつまらないことを考える。
不意に投げかけられたその質問。もちろん知っている、むしろそういうの大好き
だからどうしたというのか。それを私に言うのか?
一人でbar経営してる独身女に???
は?なんつったこいつ
誘ってるよ?って、バカなんじゃ…
カウンターにぐったりと顔を伏せている五条さんに水を差しだす
顔を伏せたままフリフリと顔を横に振る。言ったら変えないことは知っている。
酔っている人に酒を飲ます趣味はないが仕方なく最後の一杯を作る
五条さんの目の前にブルームーンを差し出すが、おそらくもう寝てしまったのだろう
規則正しい寝息が薄暗いbarの中にそっと消えていく。
五条さんの隣に腰を掛けて白髪を触る
さらさらふわふわで絹のようにすごく綺麗。
そこでbarの扉がからんからんと音を立てる。
五条さんを担いで出ていった夏油さん。
barには私一人。五条さんが飲み損ねたブルームーンを一口。
途端に胸がずきりと痛む。知ってたよ、最初からこの感情が何なのか。
でも自分の気持ちにふたをした。何故なら最初から絶対に私たちは結ばれない運命なのだから。
店の扉にclosedの札をかける。
最後に店の中に入って大きく息をする。
ばいばい。bar。
ほらね、五条悟。私たちは一生交われない。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!