第4話

お酒【五条悟】
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2025/11/20 14:47 更新


カランカラン

ドアのほうを見ると背丈が高くて白髪の常連さん。

こんばんは~、久しぶりだね
あなた
こんばんは。今日は何を?


私の目の前の高い椅子に軽々座る

あなたちゃんのおすすめで
あなた
では、カシスオレンジなどどうです?
いいね、んじゃそれで


からんと高級そうなグラスに氷をいち、に、さんこ。

そこにカシスリキュールを入れ、オレンジジュースを注ぎ込む

あなた
そんなに見られると作りづらいんですが


カウンターに頬杖をついてこちらをじっと見詰めるアクアマリンのような瞳。

舐めているかのようにニヤニヤとしているその顔は不思議と嫌に感じない

あなたちゃんってさ、所作きれいだよね


急に何を言い出すかと思えばそんなこと。

あなた
当り前じゃないですか
あなた
barやってたら自然と綺麗になりますよ


さっと作り終えたカシスオレンジを差し出す。

あなた
どうぞ、カシスオレンジです
ん、ありがとう


整った顔が微かに火照る。お酒が弱いのは意外と思うのは、そのほかが完璧だからなのかな

なんてつまらないことを考える。

カクテル言葉って知ってる?


不意に投げかけられたその質問。もちろん知っている、むしろそういうの大好き

あなた
知ってますよ、そういうの好きですから
カシオレは甘い幸せな家庭とかなんだよ
あなた


だからどうしたというのか。それを私に言うのか?

一人でbar経営してる独身女に???

あなた
…誘ってるんですか?
あなた
だとすればもうちょっと雰囲気ってものを
うん
誘ってるよ?


は?なんつったこいつ

誘ってるよ?って、バカなんじゃ…

あなた
五条さん酔ってます?
うぇぇ…
あなた
なにやってるんですか


カウンターにぐったりと顔を伏せている五条さんに水を差しだす

あなた
今日はさっさと帰って寝てください
あなた
明日だって早いんでしょう?
やだ、
あなた
え”
、もう一杯飲む
あなた
でも、


顔を伏せたままフリフリと顔を横に振る。言ったら変えないことは知っている。

酔っている人に酒を飲ます趣味はないが仕方なく最後の一杯を作る

あなた
どうぞ、ブルームーンです


五条さんの目の前にブルームーンを差し出すが、おそらくもう寝てしまったのだろう

規則正しい寝息が薄暗いbarの中にそっと消えていく。

五条さんの隣に腰を掛けて白髪を触る

さらさらふわふわで絹のようにすごく綺麗。

…好き
あなた
…知ってますか、五条さん
あなた
ブルームーンにはカクテル言葉があって、一つが『完全なる愛』。
あなた
もう一つが、


そこでbarの扉がからんからんと音を立てる。

お邪魔しちゃったかな?
あなた
そんなことないですよ
あなた
わざわざお迎えありがとうございます、夏油さん
いや大丈夫だよ
んじゃ、悟もらってくね
あなた
はい、今後とも御贔屓に。


五条さんを担いで出ていった夏油さん。

barには私一人。五条さんが飲み損ねたブルームーンを一口。

あなた
五条さん、あのね
あなた
もうひとつのカクテル言葉はね、
あなた
『叶わぬ恋』。


途端に胸がずきりと痛む。知ってたよ、最初からこの感情が何なのか。

でも自分の気持ちにふたをした。何故なら最初から絶対に私たちは結ばれない運命なのだから。

店の扉にclosed閉店の札をかける。

んじゃ、行こうかあなた
あなた
うん、あちょっと待ってて真人


最後に店の中に入って大きく息をする。

ばいばい。bar。

寂しい?
あなた
全然、またどこかで開くからね


ほらね、五条悟。私たちは一生交われない。








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