待機部屋で暫く心を落ち着かせていると扉がノックされ先輩が顔を出してくれた。
ドユン先輩に肩を叩かれ少し気が楽になった気がした。撮影機材の片付けをするためにまた撮影部屋へと戻った。流石に彼奴も帰っていてスタッフの方達が片付けを進めてくれている。俺もそれに混ざって片付けを着々と進めた。
あの時の会話、俺の事を褒めてくれていたんだ。これも1種の嫌がらせ ?
先輩の話しを聞く限りだと彼奴はまだ俺のことを根に持っているのかもしれない。なんて執着心の高い奴なんだ。
もう一緒の現場は懲り懲りだ。なんとか言って彼奴と現場が被らないようにしてもらおう。
先輩には流石にミンギュとの事を打ち上げる訳にもいかずに一緒の現場にならないように伝えた。先輩もそれに暖かく答えてくれて安堵する。
一体彼奴は何を考えているのかさっぱり分からない。あの時のことを忘れるなんてことは無い筈だ。でも加害者はそういった記憶は薄れるなんてことを聞いたことがある。
もういい、これ以上彼奴のことで時間を割きたくない。さっさと片付けを終えて家に帰って寝よう。
機材を纏めてスタッフの方々と運搬を終えて先輩に挨拶を交わし自宅へと足を動かす。
今日は色々と災難な1日だった。早くこのことは忘れよう。夜空に顔を仰がせ深く溜息を吐いた。
今日も撮影がある。でも今日は撮影に参加するというよりかは見学に近かった。これも勉強の1つとなるから貴重な時間だ。
撮影現場に入って準備を進める。今日は人気雑誌のお偉いさんも来るらしく普段よりも空気が張り詰めていた。アピールできるチャンスでもありミスをすると先に響く大事な場面だから皆色々と企んでいるんだろう。
でも俺には関係ない事だ。正直この場で適当に突っ立っていれば今日は終わり。仕事もないも同然だから少し気楽にいた。
先輩は怪訝な顔で扉の方を見つめた。彼奴 ? それって今来るお偉いさんのこと ? 先輩がここまで乗り気じゃないのは初めて見た。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!