翌朝。
あなたの下の名前は直哉の前に立った瞬間、
昨日のキスが頭に蘇ってしまい
あなたの名字「…………っ」
顔が一気に真っ赤になる。
手元も落ち着かない。
声も震えている。
視線も合わせられない。
(ど、どうしよう……直哉さん……キス……っ)
あなたの下の名前の脳内は大惨事だった。
そんなあなたの下の名前を見て、直哉は露骨に眉をひそめる。
直哉「……なんやそのぎこちない動き。」
あなたの下の名前はびくっと肩を震わせる。
あなたの名字「い、いえ……べ、別に……っ」
直哉はため息ひとつ。
直哉「……まだ昨日のこと引きずっとるん?」
その一言で顔がさらに赤くなる。
あなたの下の名前はぎゅっと手を握りしめて、小さく小さく呟く。
あなたの名字「……ひ、引きずってます……」
直哉は呆れたように目を細める。
直哉「はぁ?あんなんでまだドキドキしとんの?アホやろ。」
馬鹿にされたのに、夢主は嬉しそうに俯く。
同時に、直哉にはこれが普通で、女の子にキスするのは日常なんだって少し落ち込む。
あなたの名字「だ、だって……っ
すごく……すごく嬉しかったんです……」
直哉「はあ?」
あなたの下の名前は羞恥心で死にかけながら、
それでも素直すぎる本音を絞り出した。
あなたの名字「直哉さんが……はじめてのキスだったんです。
わ、わたし……だから……」
顔は信じられないほど真っ赤。
手も震えている。
直哉はわずかに目を見開く。
(……ファースト、キス?
本気で言うてんのかこいつ……)
次の瞬間、直哉は鼻で笑った。
直哉「きっしょ。」
ばっさり切り捨てる。
あなたの下の名前は、しゅん、と肩を落とす——
けれど。
直哉は、そのしゅんとした姿を数秒見つめたあと、ふっと小さく笑った。
甘さをほんの少しだけ混ぜた、意地悪な笑み。
直哉「……そんなん俺に捧げて当たり前やろ。
アホやな、ほんま。」
わざと優しい声に落とす。
直哉「ほんならもうお前、永遠に俺の犬やな?」
言葉とは裏腹に、
その目は逃がす気ゼロの独占欲で光っていた。
あなたの下の名前は胸を押さえながら、小さく頷く。
あなたの名字「……はい……
ずっと……直哉さんの、犬です……」
直哉は満足げに笑う。
「言わせたら即答か。
ほんま素直で可愛いなお前。」
言うつもりのなかった本音が、つい口から零れてしまったことに気づき、直哉は少しだけ自分に驚いた。
(……なんで俺、こんなん言うてんねん。)
でも、否定はしなかった。
あなたの下の名前が自分だけを見て震えているその姿が、
どうしようもなく心地よかったから。
☆と♡おねがいしますっ











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。