災龍とは……
生まれつき身体から毒素を発し
周りへと被害を及ぼしてしまう
悲しく寂しき龍の事だ
産まれる時ですら毒素を発し
母体に大きく負担をかけてしまい
産まれてすぐ母親は死んでしまった
育てられる者も居らず
当主である私が育てる事になった
何故か私にはその毒が効かなかったからだ
私以外は近付く事さえ出来ず
そのまま月日が経った
そして不思議な事に災龍には
他の龍には見られない蹄があった
本来龍とは地上で暮らす者達でも
爪はあれど蹄はない
水の中で暮らす者達にも
鰭はあれど蹄はない
樹上に暮らす者達でも上空に暮らす者達でも
蹄を持つ者は居ない
同じ特徴を持つ者が居ないのだ
そして800年近く前に
「世界貴族」を名乗る者達が現れ
ここ『龍の都』は一度襲撃された
しかし人間が龍に勝てるはずもなく
和睦の条件として10年程に一度
我ら『龍の民』の繁栄の為に
人間を5~10人程送るように言った
我ら『龍の民』は龍同士でかけていると
いつしか奇形が出る事があるからだ
元は龍と人が交わり生まれた種族だからなのか
時々人間の血を入れなければ
上手くその形を保てなくなる事がわかった
だからそれを条件に
我ら『龍の民』と「世界貴族」は和睦をした
しかし400年程前
「世界貴族」……
「天竜人」が再び侵攻して来たのだ
その時に掲げていた印が
その災龍の蹄を模したものだった
そして「天駆ける竜の蹄」と
勝手に名乗ったのだ
龍の名は我らしか名乗れぬはずなのに
勝手に『龍』を語ったのだ
そしてまた我らに敵う事なく……
今、「天竜人」は大人しくしているのだ
しかし……
それがいつまで持つ事やら……
だから今のうちに話しておかねばならないと
そう思ったのだ……












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。