第10話

第9話 体育祭、君と走る季節
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2026/08/21 10:55 更新
夏が終わり、少しずつ風が涼しくなってきた頃。

蝉の声もいつの間にか聞こえなくなって季節は秋へと変わり始めていた。

そして、私たちの学校では、体育祭の季節がやってきた。
白石 恋桜しらいし こはる
今年は、どんなことあるのかな?
教室で体育祭の種目表を眺めながら、楓ちゃんと話していた。

すると楓ちゃんが何かを見つけたように声を上げた。
山谷 楓やまたに かえで
ねぇ、恋桜!
白石 恋桜しらいし こはる
うん?
山谷 楓やまたに かえで
障害物競走、藤井くんも出るんだって!
白石 恋桜しらいし こはる
……そうなんや。
私は何気なく返事をする。

でも…心の中では、少しだけ嬉しかった。

体育祭で頑張っている藤井くんを見られる。

そう思っただけで胸がふわっと温かくなる。

すると楓ちゃんがニヤニヤしながら私の顔を覗き込む。
山谷 楓やまたに かえで
他人事のように言ってるけどさ
白石 恋桜しらいし こはる
えっ?
山谷 楓やまたに かえで
もし仮に面白いお題が出たら
一拍置いて楓ちゃんはにっこり笑う。
山谷 楓やまたに かえで
恋桜が行かなきゃだね!
白石 恋桜しらいし こはる
えっ!?
思わず目を丸くする。
白石 恋桜しらいし こはる
ちょっと楓ちゃん!
山谷 楓やまたに かえで
だってそうでしょ?
白石 恋桜しらいし こはる
そんなの恥ずかしいよ!
山谷 楓やまたに かえで
でも、蓮に『好きな人』とか『大切な人』ってお題が出たら?
白石 恋桜しらいし こはる
……っ
その言葉を聞いた瞬間、顔が一気に熱くなる。

想像しただけで耳まで真っ赤になるのが自分でも分かる。
白石 恋桜しらいし こはる
そ、それは……
山谷 楓やまたに かえで
ほら! やっぱり顔赤くなった!
白石 恋桜しらいし こはる
もう! 楓ちゃんたら、からかわないでよ!
私は慌てて両手で頬を押さえる。

楓ちゃんはそんな私を見て、楽しそうにくすくす笑っている。
山谷 楓やまたに かえで
まあまあ、そんなに慌てなくても~
白石 恋桜しらいし こはる
楓ちゃんったら
山谷 楓やまたに かえで
でもね、体育祭、本当に楽しみだねぇ
からかうのをやめ、楓ちゃんは穏やかな笑顔で言った。
白石 恋桜しらいし こはる
うん、そうだね。
私もつられて笑顔になる。

でも……
その日の帰り道。
ふと体育祭の種目表と楓ちゃんの言葉を思い出す。

もし本当に。

もし藤井くんの障害物競走でそんなお題が出たら私は、どうするんだろう。

「……」

そっと胸に手を当てる。

ただ想像するだけで鼓動がどんどん速くなっていく。

そして私はまだ知らなかった。
この体育祭が私と藤井くんの距離をまた一歩、ぐっと近づける特別な日になることを。

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