第8話

story7 囚われているのは
19
2025/06/03 10:31 更新
ひかり
ん……あれ…………
なんで私、床で寝てるんだろ……しかも制服のまま……。
ひかり
………………
……あぁ、なるほど。

床にこびりついている血溜まりを見て、すべてを察する。
ひかり
死ねなかった、か…………
わんちゃん死ねると思ったんだけど、あの血の量じゃやっぱり無理か……。
…………たとえ腕の肉が抉れて見えてても。
ひかり
…………はぁ
昨日は取り乱しすぎたのかも。
死にたい気持ちだけが先走って、"ちゃんと"切れなかったのかも。
……いや、やっぱり怖かっただけだろうな。
首を刺せば死ねる確率も上がったのに……刺せなかった。
ひかり
だから嫌いなんだよ
いつまでも死ねない自分が……

過去から進めない自分が。


…………結局、過去に囚われているのは私だけで、周りのみんなは次に進んでる。
本当、いつになったら進めるのかな……。
ひかり
死ねば、進めるのに
静まり返る部屋でそうつぶやく。
……そうだよ、死ねば次のステージ人生に進める。
進めるのに……。
ひかり
死ねないんだよね、私は……
立ち尽くす自分が無意味な存在だと再確認する。


はは…………もう、いいや。


"今日、体調悪いから学校休むね"

めうちゃんにそれだけ送って、制服のままベッドに潜る。
親にも同じような文章を打った。

血も、服もそのままだけど……いいよね。
すべてを投げ出したおかげか、すぐに眠くなってきた。

……このまま死ねないかな。

いつも通りの言葉を思い浮かべて、私は静かに目を閉じた。
「ねぇ、なんで避けるの……!?」

「別に避けてないよ」

「うん、被害妄想だよ」

「被害妄想って……実際、今日の約束破ったじゃん……!」

「あー……予定入ったって言わなかった?」

「メール残ってるはずだよ」

「……今見たけど、何もなかったよ。なんで嘘つくの……?」

「え、そんなはずないじゃん………あ、別の子に送ってたわ」

「あー、ほんとだ」

「じゃあ見せてよ、その証拠」

「なんで?」

「いや、なんでじゃないよ……! 逆にどうして見せてくれないの……!?」

「……………」

「ねぇ、何も言ってくれないの……?」

お願いだから、なにか言ってよ…………っ。

「…………めんどくさ」

「……………っ!」

嫌、いやっ…………置いていかないで、離れていかないでよ……!

一人にしないでっ…………!!

もう、ひとりぼっちは……いやなのに………………っ。


なんで離れていくの……? 私が何かしたの……?


…………そっか、何もしなくても、私は嫌われ者になるんだ。

それならはじめから、「大好き」だなんて…………言わないでほしかったよ…………っ。

プリ小説オーディオドラマ