第2話

始まり
120
2024/10/05 20:18 更新
今でもまだ覚えている
あれは、家族みんなで横断歩道を歩いている時のことだった
弟は隣で気絶していて…
目の前には、赤い液体を撒き散らした、原型の無い両親と
電信柱にぶつかって前方が酷くひしゃげた車があった
周りの人が何か言っていて
車からたくさん人が出てきて
でも、みんな何を言っているのか分からなくて
混乱してた
そうしたら、後ろから蒼い顔をした司が私の手を掴んで、横断歩道から出してくれた
弟を運ぶのも手伝ってくれて
『大丈夫だ。何も怖くない、このお守りが空音依あおいを守ってくれる。』
そう言って、星のマークの付いた腕輪をくれた
スター腕輪なんだそうだ
私は、その時、急に安心感が増して
気がつけば泣いてた
目を覚ますと、見慣れた天井が見えた
時計を見ると、7時を指していた
空音依
おはよう…
カーテンの隙間からほんの少しだけ除く光を見つめながら、私は弟に声をかけた
心郁
おはよう、朝ごはん出来てるよ!
心郁このかがこちらを見て答えた
私は料理が点でダメなので、朝食はいつも心郁このかが作ってくれる
両親がいない今、ありがたい限りだ
でも、私はお姉ちゃん!
弟に頼りっぱなしっていうのは良くない
空音依
よ〜し
お姉ちゃんも手伝っちゃうぞ〜!
私は料理をテーブルに運ぶ
いつもの朝だ
でも、私は日常はすぐに壊れることを知っている
だから私は…
心郁
あれ、
空音色あおい、Lime鳴ってない?
Limeというのは今時の無料コミュニケーションアプリのことだ
どうせ…
心郁
ペガサス兄からじゃん
空音依
ゔぅ…
私は顔をしかめる
ペガサス兄とは、天馬司のことである
昔のピアノの好敵手ライバルで、司のお母さんにピアノを習っていた影響もあり、仲が良かった
しかし、あくまでそれは過去形である
今はほとんど連絡を取っていない
というか、ほぼ全て私が無視している
これだけ無視しても懲りずに連絡してくるとは…
恐るべし、鋼の精神力

別に司が嫌いなわけではない
ただ、私は気づいてしまったのだ
私の周りにいると、不幸になると
幼い頃の親友は病死、両親は事故にあい死別、咲希ちゃんの病気は私が離れた時から良くなり始めた
私と一緒にいても、ろくな事にならない
だから私は心郁とも学校を変えたのだ
誰とも関わらず、目立たず、空気と化して、誰も傷つけない高校生活を送ろう
それが私のやりたいことだ
空音依
行ってきまーす
私は、こうして高校初日を迎えたのだった
まさかこの後あんなことになるなんて…
誰も想像できなかっただろう

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