50個以上ある目覚まし時計がけたたましく音を鳴らす。しかし、布団の盛り上がりは崩れる気配を見せない。
ジェシカはバスティンのベッドの上に登り、布団をひっぺがすべく全力で引っ張っているのだが、なかなかどうしてこの親友は力が強い。内側から引っ張り返されてまったく取れない。
けたたましく鳴り続ける目覚ましに負けないようにジェシカが大声を上げてもバスティンはまったく起きようとしない。既に朝の6時半だ。
窓をガラッと開けて怒鳴ったのは実優。もう制服に着替えている。
登校してきたらしいロノがフライパンにおたまをぶつけて打ち鳴らしながら起こしに来た。目が三角である。
三人から同時に突っ込まれたバスティンは、再び夢の中へ誘われていった。
そして30分後。食堂が閉まった。
戦車の整備をしながら実優がため息をつく。
以前に聞いた話を思い出して言うと、実優はコクリとうなずいた。
実優が膝を抱えて懐かしそうに瞳を揺らす。
朱音は「優しかったのね」と言ったのだが、実優の耳には「かっこよかったのね」と聞こえたらしいい。頬を赤くして相好を崩す。
柱にガンガン額を打ち付けているアモンと壁をガンガン蹴っているフルーレが唸っている原因は、実優の発言にある。
周囲のそんなやり取りを気にも留めず、二人は悶絶した。
ラトが振り返ると、後ろに真っ赤な顔をしたジェシカがうずくまっていた。
アモンに理不尽なクレームを食らいながら、ジェシカが死にかけのアヒルのような声を絞り出す。
ついていけないハウレスと野良猫と戯れているバスティンを空気のように無視して、アモンとフルーレはジェシカを罵りまくった。























編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!