第11話

十話「噂の歌姫」
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2025/12/18 08:48 更新
___知ってる?この辺りで有名だった歌姫、観客を全員殺したんだって
え、大量殺人したってこと?酷っ……
あの人の歌、一回聞いたことあるけど好きだったのになぁ……
なんて子だっけ?
あぁ、名前は確か___









































___観客なんてたかが数十人だろ
……この辺りはなーんかある気がするんだけど……
…この噂はさっきからずっと聞いてる、そしてその内容が何より……








































     「 ___つまんねぇの。 」
 
何者かも分からない少女は、一人、誰も聞いていないその路地裏で一つ呟いて、また去っていくのである。
 
 
星空の下だった
自分が頭から落ちたはずのその地に今足をつけて歩いている、というのは何とも不可解な現象だな、と糖菓は少しだけ思考を巡らせながらいた。

___その時、ふと、目の前の建物が目に止まったのである。
 
魂並こんぺい糖菓とうか
……大きな建物……ステージ?
 
周りには建物などあまり無いから"大きい"という印象を抱いただけかもしれないが、それは他の建造物よりはきっと大きなステージのような建物だった。
しかしながら、誰一人として人がいる気がしない。
 
魂並こんぺい糖菓とうか
……どうして誰も……って
散花ちりばな葵彩あおい
「……いるね」
 
___目に映ったのだ。
中に入るわけでもなく、ただその建物を眺める二つの人影が。
 
……!!
……
 
___なんだか、理由なんて無いけど、無性に

___"何かある"気がしてくる。
 
魂並こんぺい糖菓とうか
___あの、貴方達って……
___行きましょう
……だな
魂並こんぺい糖菓とうか
え、あ、ちょっ……
 
若葉色の髪をした少女が、撫子色の髪の少女の手を引いてどこかへ行こうとする。糖菓の声に応じることもなく、まるで避けようとするように。









































___その時だった。








































___魂並糖菓、散花葵彩、甘宮彩星、咲森言葉……でしょう?
……!?
 
___気配もなく現れた二人組が
突如名前を呼んできたのである
 
魂並こんぺい糖菓とうか
え、な、なんで……知って……
……甘宮彩星と咲森言葉なら、私達であってるけど








































【 孤独と罪悪感の色相 】甘宮あまみや彩星あやせ
 
【 流れ星へ紡がれた言葉の演奏者 】咲森さきもり言葉ことは







































咲森さきもり言葉ことは
……だけどその2人までは分からないわ
魂並こんぺい糖菓とうか
あ、葵彩っていうのは___
散花ちりばな葵彩あおい
「……話が拗れる、今は合わせて」
魂並こんぺい糖菓とうか
え、あ___うん、あってるよ
まぁまさか…間違えるはずもないけどねっ!
咲森さきもり言葉ことは
……それで、何の用?
ん?ただ……
 
そう言うと、一人の狂ったように見える紅い瞳の少女が指を指す。







































___そこにいる歌姫の子でも殺そうかなって!
 
(バンッ!!!!)

___一つ銃声が響いた。
 
甘宮あまみや彩星あやせ
___黙れ
 
その発言に怒ったように、発砲していたのは彩星だった。しかしその銃弾を軽々と回避して、またその姿は微笑んでみせるのである。嘘らしいくらいの笑みで。
 
甘宮あまみや彩星あやせ
な、なんで……!!
あ……もしかして今のボクに当てる気だったっ?
ならごめんねっ?まさかボクに当てる気であんなのは撃たないと思ってて……
というか今撃つ意味も無いからさっ!そこの歌姫の子がやるならまだしも……
甘宮あまみや彩星あやせ
……どうして言葉を殺しに来た…言葉はお前らに何もしてないだろ
うん、してないよ?深い意味なんてない
___そしてボクって神様だからこんなに幸運なんだよねっ!
まさかこんなに殺せる人が多いなんてさっ!
甘宮あまみや彩星あやせ
……この殺人狂い野郎……
それはそこの歌姫の子もでしょ、どうしてその子なら庇うのっ?
魂並こんぺい糖菓とうか
えっ___
 
「それはそこの歌姫の子もでしょ」、という言葉が糖菓にはどうも引っかかって
それを言われた張本人である言葉からの反応はあまり無かった。
 
甘宮あまみや彩星あやせ
言葉は狂ってもいないし…あんなの殺人に入らない…!!!!
うーん、分からないなぁ……殺人なことには変わりないと思うし、何より……
……どうしてキミはその子を庇うのっ?それでキミに何かメリットでもある?
甘宮あまみや彩星あやせ
言葉を悪く言われて黙ってるはずもないだろ…!!!
……はぁ
___本当に







































___人間の考えることって理解できないよねっ!
甘宮あまみや彩星あやせ
うっ゛……!?
魂並こんぺい糖菓とうか
……今、何起きて……?
散花ちりばな葵彩あおい
「……高速で移動した……にわかには信じ難いけど」
散花ちりばな葵彩あおい
(それに……やっぱり強い)
散花ちりばな葵彩あおい
(……見捨てたいわけじゃないけど…これは糖菓以外まで逃げるのは厳しいかな……)
散花ちりばな葵彩あおい
(いや、そもそも糖菓だけでも逃げれたら奇跡……どうやって……?)
 
顔は笑ったまま、気づけば目の前にいて彩星の首に、少女は手をかけていた。
 
咲森さきもり言葉ことは
……貴方のその手で彩星に触れないで
人殺しの手でとでも言いたいの?
それはキミも変わらなくないっ?
甘宮あまみや彩星あやせ
黙、れ゛っ……!!


散花ちりばな葵彩あおい
「……」
散花ちりばな葵彩あおい
(……今なら逃げられないこともないかもしれない)
散花ちりばな葵彩あおい
(要注意人物の注意は完全にあの二人……もう一人いるけど、それは僕が引き止めるしかない)
散花ちりばな葵彩あおい
(不意打ちだから多分逃げるくらいの時間は稼げる……だけど)







































散花ちりばな葵彩あおい
(___僕は、本当にそれでいいの……?)
魂並こんぺい糖菓とうか
……葵彩?
散花ちりばな葵彩あおい
(……いや、良い。だって僕のやるべき事は糖菓を守ることだって……)
散花ちりばな葵彩あおい
(……もう"あんな風に"しちゃいけないって……)
魂並こんぺい糖菓とうか
……どうしたの?
散花ちりばな葵彩あおい
「……もう一人の方が気づいたら僕が止める、だから……逃げよう」
魂並こんぺい糖菓とうか
さ、三人のこと置いて!?
散花ちりばな葵彩あおい
「…うん」
魂並こんぺい糖菓とうか
そんなの葵彩じゃない、葵彩は……!!
魂並こんぺい糖菓とうか
___葵彩はそんなの嫌でしょ……!?!?
散花ちりばな葵彩あおい
「……」
魂並こんぺい糖菓とうか
……私は、ちょっと違うかもしれないけど……







































魂並こんぺい糖菓とうか
___ここで見捨てたら、母親と父親と似たようなことしてる気がして……嫌だ
散花ちりばな葵彩あおい
「……糖菓」
散花ちりばな葵彩あおい
(糖菓、違う、君の母親と父親は、悪い人じゃ……なかったのに……)
 
でも、その糖菓の瞳には何か見過ごしてはいけないものが宿っている気がして、葵彩は決めた。
 
散花ちりばな葵彩あおい
「……相当危険だよ」
魂並こんぺい糖菓とうか
…いいよ
散花ちりばな葵彩あおい
「……分かった」
 
そう一つ決心して、糖菓は一つ歩み寄る。
 
魂並こんぺい糖菓とうか
___今!!!
 
___その瞬間、今までそこにいなかったはずの葵彩が現れ___







































___たの、だが。







































___気づいていないとでも思った?
散花ちりばな葵彩あおい
……えっ
魂並こんぺい糖菓とうか
(そうか葵彩の名前知ってた時点で……!!!)
 
___もう一人に気づかれたのである。
 
如月きさらぎはる
……はぁ
如月きさらぎはる
……もう無理か
 
___そうして一つページを捲る。

この先の物語を書き換えましょう。







































___そうして書き換えられた先のページで

___4人の姿は消えたのである。







































……は?
な、何が起きて……
だって貴方は無能力の……!!!
如月きさらぎはる
ミレアムとセリニア、でしょ?






































【 嘘の仮面を被った絶望の掌握者 】ミレアム・シークレット
 
【 真実を見通す新月の瞳 】セリニア・ラナンキュラス






































セリニア・ラナンキュラス
……どうしてそれまで
如月きさらぎはる
何?自認神のミレアム様(笑)と復讐を理由にしたただの頭のおかしい人とでも呼んだ方がいい?
ミレアム・シークレット
……キミ、人間?
如月きさらぎはる
ミレアム様(笑)が心底見下してる人間の一人
ミレアム・シークレット
へぇ……
如月きさらぎはる
まぁここで長話をする気はないから一つ言っとくとさぁ……






































如月きさらぎはる
___違うよ、言葉ちゃんは……君達が探してる人とは
セリニア・ラナンキュラス
……本当に?
如月きさらぎはる
本当だって言って信じるかどうかはそっち次第
セリニア・ラナンキュラス
……そうね
如月きさらぎはる
……それじゃあ
 
___そうしてまた一つ、姿が消えた。
 
 
魂並こんぺい糖菓とうか
___え……ってここ……!!!
 
___そして、四人の物語は、ここから動き出すのである。

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