思考を働かせる、
回して、回して、廻して、廻して___
葵彩と糖菓は、お互いに相手の視覚を共有することができる。それを使って、葵彩は今糖菓に何が起きているかを具体的に視覚から知ったのだ。
___葵彩の姿が、その場から消えた。
欠けていた物が
宝箱に閉まっていたはずの物が戻ってきたような
そんな感覚がした
だから、葵彩が戻ってきたのだと確信する。長年の勘と慣れみたいなものだ。
ふと後ろを振り向くと、遠くの方に一つの建物が見えた。……直線上だ。
そうして糖菓が葵彩が再度外に出るのを許可すると、葵彩の姿が再び現れた。そのまま、糖菓の背から手を回した。
自分がぶつかる面の方に回ることで糖菓へのダメージを減らす作戦だ。死なないからこその捨て身の策とも言える。その事は糖菓にもわかっていた。…わかっていたのだが。
___その時。
___真っ暗闇の中に一つ、一番星でも見たかのような感覚だ。
___星空を見つめる。…先程より、星々の一つ一つがより一層輝いて目に映る。
一つ息をする。細く、けれどしっかりとした一本の糸で星々と繋がっているような気がする。
星野、星々の力は凄まじい。
あの広大で無限の力を持つような宇宙で、
落ちずに、堕ちずに、星空で輝き続けているのだから。
もしも本当に星々と繋がれているのなら___
___"その力を借りる"ことだって出来るはず。
___その一言だけ呟いて
___衝突した。
…突如、背後から知らない声がした。振り向くと、そこには優しそうに微笑む一人の少女が立っていた。
そうして姿を消す。
景色が変わる。
___葵彩だけが、その違和感を抱えたまま。
___視界が見た事のある景色を映し出す。…どうやら成功したようだ。
___言葉自体は嘘では無い。その言葉自体は嘘では無いし、きっと本気で二人の事を心配していただろうし、無事でいて嬉しい気持ちだって嘘だとは思えない。……のだが。
それにしたって、さっきの言葉と様子が違う。なんだか、それこそ…何か厚い壁が隔てているような___
___その言葉は、その拒絶は、彩星にとっては思いもよらぬもので。…脳が、どうして、と叫び続けていた。
___彩星が何か言おうとしたところで、言葉がそう呟く。……その瞬間、言葉の姿だけがその場から消えた。
身体を支える脚の力が抜けて、脱力しきって、そのまま膝から崩れ落ちる。
下を向いたままだ、立ち上がる気も力も湧いてこない。ただその瞳は俯いたまま空虚を見つめている。
その瞳が捉えていたのは、彩星と言葉と、そしてまた別の何かで___
___ただ、確かにそこには
太陽ほど眩しくはないけど、星空の中で一番星として光っていられるような、そんな強い光が宿っていた。
俯いていたその顔を少し上に上げると、その時初めて糖菓が手を差し伸べていたことに気づく。震えて力のあまり入らない手でその手を掴むと、そのまま支えられるようにして立ち上がる。
___そして、そう伝えるのだった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。