第16話

十五話「星を宿して」
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2026/01/30 17:00 更新
魂並こんぺい糖菓とうか
(…落ち着いて、落ち着け、落ち着け落ち着け落ち着け…!!!)
 
思考を働かせる、
回して、回して、廻して、廻して___
 
魂並こんぺい糖菓とうか
(この速度でこの距離、この先で何かにぶつかれば大変なことになる……)







































魂並こんぺい糖菓とうか
(___別に、生きたいわけじゃない)
魂並こんぺい糖菓とうか
(ここに私がいるのも結局"死の延長線"でしかないから)
魂並こんぺい糖菓とうか
(ただ、ただ…ここで、ここでみんなを放って死ぬのは嫌だ……!!!)







































散花ちりばな葵彩あおい
(……ずっと飛ばされてる…?あのままだと……)
 
葵彩と糖菓は、お互いに相手の視覚を共有することができる。それを使って、葵彩は今糖菓に何が起きているかを具体的に視覚から知ったのだ。
 
散花ちりばな葵彩あおい
(…もう、こうするしかない)
散花ちりばな葵彩あおい
……
 
___葵彩の姿が、その場から消えた。







































魂並こんぺい糖菓とうか
(あ、葵彩……?)
 
欠けていた物が
宝箱に閉まっていたはずの物が戻ってきたような
そんな感覚がした

だから、葵彩が戻ってきたのだと確信する。長年の勘と慣れみたいなものだ。
 
魂並こんぺい糖菓とうか
…!!!
 
ふと後ろを振り向くと、遠くの方に一つの建物が見えた。……直線上だ。
 
魂並こんぺい糖菓とうか
(このままだと、ぶつか___)
散花ちりばな葵彩あおい
「___糖菓!!」
魂並こんぺい糖菓とうか
…!!葵彩…?
散花ちりばな葵彩あおい
「出して、良い考えがある……!!」
魂並こんぺい糖菓とうか
え?うん……!!
 
そうして糖菓が葵彩が再度外に出るのを許可すると、葵彩の姿が再び現れた。そのまま、糖菓の背から手を回した。
自分がぶつかる面の方に回ることで糖菓へのダメージを減らす作戦だ。死なないからこその捨て身の策とも言える。その事は糖菓にもわかっていた。…わかっていたのだが。
 
魂並こんぺい糖菓とうか
葵彩が痛いじゃん…!!
散花ちりばな葵彩あおい
糖菓が死ぬより良いでしょ!?
魂並こんぺい糖菓とうか
それ、は……!!







































魂並こんぺい糖菓とうか
(…仕方ないのかな…いや)






































魂並こんぺい糖菓とうか
(…私は)






































魂並こんぺい糖菓とうか
(___"僕"は、そんなの嫌だ…!!!)
 
___その時。






































…あら?
……蕾ができている…?
……あぁ、なるほど……魂並糖菓、いや…星眠彩南、貴方……!!!
……その蕾……






































___絶対に枯らしてはなりませんよ…!!






































___真っ暗闇の中に一つ、一番星でも見たかのような感覚だ。
 
魂並こんぺい糖菓とうか
星……
魂並こんぺい糖菓とうか
……ぁ…
魂並こんぺい糖菓とうか
……







































___星空を見つめる。…先程より、星々の一つ一つがより一層輝いて目に映る。
一つ息をする。細く、けれどしっかりとした一本の糸で星々と繋がっているような気がする。






































星野、星々の力は凄まじい。
あの広大で無限の力を持つような宇宙で、
落ちずに、堕ちずに、星空で輝き続けているのだから。










































もしも本当に星々と繋がれているのなら___






































魂並こんぺい糖菓とうか
……
 
___"その力を借りる"ことだって出来るはず。
 
魂並こんぺい糖菓とうか
(……やれる)
魂並こんぺい糖菓とうか
(___私はもう…)






































魂並こんぺい糖菓とうか
(___私の所為で、葵彩に苦しんで欲しくない…!!!)
 
散花ちりばな葵彩あおい
「…!?なんで、糖菓…!!出し___」
魂並こんぺい糖菓とうか
___大丈夫
 
___その一言だけ呟いて






































___衝突した。






































魂並こんぺい糖菓とうか
___いったた……けど…
魂並こんぺい糖菓とうか
___無事だよ、葵彩
散花ちりばな葵彩あおい
「な、なんで……」
散花ちりばな葵彩あおい
「…もしかして、糖菓……」
魂並こんぺい糖菓とうか
なんか星と繋がれた気がして…それで、凄い力が出せたんだ
散花ちりばな葵彩あおい
「それは…」







































___それは、"能力"ではないですか?
魂並こんぺい糖菓とうか
え…?
 
…突如、背後から知らない声がした。振り向くと、そこには優しそうに微笑む一人の少女が立っていた。
 
ここ…幻想回星世界では、"能力"に目覚めることがあるのです
魂並こんぺい糖菓とうか
…じゃあ、それで……
話を聞かせていただいたところ、貴方の能力は…"星の力を借りているもの"、ではないですか?
それで、防御力を上げたので貴方は無事なのです
…あくまで推測、ですがね
魂並こんぺい糖菓とうか
……そういえば貴方、先程まで飛ばされていましたよね?
魂並こんぺい糖菓とうか
え…?あ、はい…
そうですか……どのように戻る気で?
魂並こんぺい糖菓とうか
え?えっと……なんとかして……
なら…良ければ、なのですが






































___私が送りますよ、元の場所まで
魂並こんぺい糖菓とうか
えぇ……!?
魂並こんぺい糖菓とうか
い、良いんですか…?
えぇ……私もこれでも能力が使えるので
私の能力は"対象を変える"というものでしてね
魂並こんぺい糖菓とうか
…?それで私を送れるんですか?
えぇ。…この世界のどこかには、今この瞬間"転移魔法"を使おうとしている人がいるでしょう?
その転移魔法の対象を貴方達に変え、その場所の対象を元いた場所にするのです
魂並こんぺい糖菓とうか
(なんか申し訳ないな元々使ってた人に……)
魂並こんぺい糖菓とうか
(……でも、今は仕方ない……)
散花ちりばな葵彩あおい
(___待ってよ)






































散花ちりばな葵彩あおい
(___貴方"達"って言った?)
では…お急ぎのようでしたので、今すぐで宜しいでしょうか?
魂並こんぺい糖菓とうか
え、あ、はい……!!!
了解致しました
___それでは……






































___健闘を祈っていますよ
 
そうして姿を消す。
景色が変わる。

___葵彩だけが、その違和感を抱えたまま。
 
 
___視界が見た事のある景色を映し出す。…どうやら成功したようだ。
 
魂並こんぺい糖菓とうか
……言葉ちゃん!!
咲森さきもり言葉ことは
……糖菓、葵彩
咲森さきもり言葉ことは
…おかえりなさい、無事でよかったわ
魂並こんぺい糖菓とうか
……
 
___言葉自体は嘘では無い。その言葉自体は嘘では無いし、きっと本気で二人の事を心配していただろうし、無事でいて嬉しい気持ちだって嘘だとは思えない。……のだが。

それにしたって、さっきの言葉と様子が違う。なんだか、それこそ…何か厚い壁が隔てているような___
 
咲森さきもり言葉ことは
…無事だったのならそれでいいの。
咲森さきもり言葉ことは
……だから、さようなら
魂並こんぺい糖菓とうか
えっ……?ま、え……??
甘宮あまみや彩星あやせ
……やっぱり
甘宮あまみや彩星あやせ
…言葉がそれを選ぶならいいよ、だから___
咲森さきもり言葉ことは
彩星





































咲森さきもり言葉ことは
___貴方は絶対に来ないで
甘宮あまみや彩星あやせ
えっ___
 
___その言葉は、その拒絶は、彩星にとっては思いもよらぬもので。…脳が、どうして、と叫び続けていた。
 
甘宮あまみや彩星あやせ
ま、待てよ、なんで……!!!
咲森さきもり言葉ことは
もし貴方が私だったら……同じことをすると思うけど?
甘宮あまみや彩星あやせ
…!!
甘宮あまみや彩星あやせ
……でも、だとしても……!!!
咲森さきもり言葉ことは
___分かって!!!
甘宮あまみや彩星あやせ
…!!
咲森さきもり言葉ことは
…私は
咲森さきもり言葉ことは
……貴方のいない世界は耐えられない
甘宮あまみや彩星あやせ
じゃあなんでいなくなるんだよ…!!!
甘宮あまみや彩星あやせ
私はお前といたい、そうすればお前の世界にだって私がいる、なのに、どうして___!!!!
咲森さきもり言葉ことは
___私は





































咲森さきもり言葉ことは
___例え世界の片隅だったとしても
貴方が存在していたらそれでいいの
咲森さきもり言葉ことは
…その時笑っていたら、なんて
それは少し強欲ね
甘宮あまみや彩星あやせ
…私は___!!!
咲森さきもり言葉ことは
___"あの場所へ行きたい"
 
___彩星が何か言おうとしたところで、言葉がそう呟く。……その瞬間、言葉の姿だけがその場から消えた。
 
散花ちりばな葵彩あおい
「……!!」
甘宮あまみや彩星あやせ
っ……!!!
甘宮あまみや彩星あやせ
……言葉、私は……!!!
 
身体を支える脚の力が抜けて、脱力しきって、そのまま膝から崩れ落ちる。
下を向いたままだ、立ち上がる気も力も湧いてこない。ただその瞳は俯いたまま空虚を見つめている。
 
魂並こんぺい糖菓とうか
…ね、ねぇ…言葉ちゃんって……どうしてこんなこと……
甘宮あまみや彩星あやせ
……さっき…飛ばされただろ、お前
魂並こんぺい糖菓とうか
あぁ、あれね……
甘宮あまみや彩星あやせ
……あれは言葉の能力…簡単に言うと言霊を扱う、というか…要は言った通りのことを起こせるんだ
魂並こんぺい糖菓とうか
……もしかして、今どこかに行ったのもそれ?
甘宮あまみや彩星あやせ
……そうだな、そうだよ
甘宮あまみや彩星あやせ
……言葉はな、その能力が嫌いだ
甘宮あまみや彩星あやせ
私が出会った頃…それで観客を殺してしまったらしい、全員
魂並こんぺい糖菓とうか
…!!
甘宮あまみや彩星あやせ
それがきっかけで私以外とは話さなくなって…それ、から……
甘宮あまみや彩星あやせ
…それから能力が暴発したことは……今日まで無かった
魂並こんぺい糖菓とうか
……そっか…それで……
甘宮あまみや彩星あやせ
…また暴発して取り返しのつかないことになったら困る、と思ってるんだろうな
魂並こんぺい糖菓とうか
魂並こんぺい糖菓とうか
……ねぇ、言葉ちゃんの行った場所に心当たりって無いの?
甘宮あまみや彩星あやせ
…それを知ってどうする
魂並こんぺい糖菓とうか
行くんだよ
甘宮あまみや彩星あやせ
……は?
魂並こんぺい糖菓とうか
寧ろなんで行かないの?
魂並こんぺい糖菓とうか
___何もしないで見捨てるなんて、私には出来ない
 
その瞳が捉えていたのは、彩星と言葉と、そしてまた別の何かで___

___ただ、確かにそこには
太陽ほど眩しくはないけど、星空の中で一番星として光っていられるような、そんな強い光が宿っていた。
 
甘宮あまみや彩星あやせ
……お前と…葵彩だけが行ったところで…
魂並こんぺい糖菓とうか
そうだね、多分私は、私達は…能力を実際に受けてもこうだった、としか言えない
それ以上は何も出来ない、けど……




































魂並こんぺい糖菓とうか
___私達"だけ"なんて言ってない
君が行かなくてどうするの?
甘宮あまみや彩星あやせ
…でも
魂並こんぺい糖菓とうか
あのさぁ!!!!
魂並こんぺい糖菓とうか
私は彩星ちゃんのことそんなに知らない!!!言葉ちゃんのこともだよ!!!!
魂並こんぺい糖菓とうか
でも、だからこそ、そんな私でも分かるくらいに言えることがある___!!!




































魂並こんぺい糖菓とうか
___言葉ちゃんは君のことが好きなんだよ!!!
甘宮あまみや彩星あやせ
……だからって
魂並こんぺい糖菓とうか
逃げないで!!!
甘宮あまみや彩星あやせ
……!!
甘宮あまみや彩星あやせ
…だ、って
魂並こんぺい糖菓とうか
___甘宮彩星!!!!
甘宮あまみや彩星あやせ
!!
魂並こんぺい糖菓とうか
君がここで逃げたらどうするの?誰が…誰が言葉ちゃんの手を掴めるの!?!?
魂並こんぺい糖菓とうか
彩星ちゃんにしか伝えられないことがあるでしょ!?!?何か言おうとしてたことがあるんでしょ!?!?




































魂並こんぺい糖菓とうか
___言葉ちゃんが一番求めてるのは彩星ちゃんの存在なんでしょ!?!?
甘宮あまみや彩星あやせ
……!!
魂並こんぺい糖菓とうか
……行こうよ
そして…場所の心当たり、教えて
 
俯いていたその顔を少し上に上げると、その時初めて糖菓が手を差し伸べていたことに気づく。震えて力のあまり入らない手でその手を掴むと、そのまま支えられるようにして立ち上がる。
 
甘宮あまみや彩星あやせ
言葉が行った場所の心当たり…は




































甘宮あまみや彩星あやせ
___"あのステージ"だよ
 
___そして、そう伝えるのだった。

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