私は泣き叫んだ 。
ママとパパよりも姉さんと過ごす時間の方が圧倒的に多かった 。
だから 、私はいつも姉さんと一緒に行動していた 。
どこに行く時も 、必ず姉さんの隣に居た 。
真っ先に頭に浮かぶのは 、姉さんの笑顔だった 。
だから 、姉さんがこの世には居ない事実をそんな
すぐには受け入れる事が出来なかった 。
私の隣に居たヴィオレータも 、涙を流しながら胸に
手を当ててそう呟いた 。
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
その後ヴィオレータと共に王宮に行ってみると 、
宮は跡形も無く消えていた 。
それだけ火事が酷かったんだろう 。
大切な家族も消え 、思い出が沢山詰まった家まで
消えた 。
同時に様々な事が起こりすぎて頭の整理が出来ない 。
王宮跡には 、助かったメイド達や王国の騎士らが集まっていた 。
しかし 、その人数も大きく減っていた 。
私が感謝の意を伝えると 、皆 、涙を流した 。
自分や他の方々 、姫の私が生き残ったという
『 嬉しさ 』
でも 、ママとパパと姉さんが死んでしまったという 『 哀しさ 』
これからどう過ごしたら良いのかという『 不安 』
色んな感情が入り乱れているからだろう 。
陛下が居なくなった今 、この王国を守っていくのは
私しかいない 。
自らが強くなり 、この国を敵から守るんだ 。
姉さんのように 、芯の強い優しい女性になるんだ 。
私は 、歩き出す 。
そして 、皆の前に立つ 。
12歳の私は 、覚悟を決めた 。
※ デビュタント ︰初めて社交界にデビューする、
年頃の女性 。デビュタント後は大人と認められる 。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。