私は泣き叫んだ 。
ママとパパよりも姉さんと過ごす時間の方が圧倒的に多かった 。
だから 、私はいつも姉さんと一緒に行動していた 。
どこに行く時も 、必ず姉さんの隣に居た 。
真っ先に頭に浮かぶのは 、姉さんの笑顔だった 。
だから 、姉さんがこの世には居ない事実をそんな
すぐには受け入れる事が出来なかった 。
私の隣に居たヴィオレータも 、涙を流しながら胸に
手を当ててそう呟いた 。
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
その後ヴィオレータと共に王宮に行ってみると 、
宮は跡形も無く消えていた 。
それだけ火事が酷かったんだろう 。
大切な家族も消え 、思い出が沢山詰まった家まで
消えた 。
同時に様々な事が起こりすぎて頭の整理が出来ない 。
王宮跡には 、助かったメイド達や王国の騎士らが集まっていた 。
しかし 、その人数も大きく減っていた 。
私が感謝の意を伝えると 、皆 、涙を流した 。
自分や他の方々 、姫の私が生き残ったという
『 嬉しさ 』
でも 、ママとパパと姉さんが死んでしまったという 『 哀しさ 』
これからどう過ごしたら良いのかという『 不安 』
色んな感情が入り乱れているからだろう 。
陛下が居なくなった今 、この王国を守っていくのは
私しかいない 。
自らが強くなり 、この国を敵から守るんだ 。
姉さんのように 、芯の強い優しい女性になるんだ 。
私は 、歩き出す 。
そして 、皆の前に立つ 。
13歳の私は 、覚悟を決めた 。
※ デビュタント ︰初めて社交界にデビューする、
年頃の女性 。デビュタント後は大人と認められる 。この世界のデビュタントは18歳 。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!