あれから約20分経った頃、私は美容院を出た。
その時、聞き慣れた声が耳に響く。
忘れるわけがない。
黒川イザナ。
ハッキリと名前が思い浮かぶ。
いつぶりだろうか、
……
私の心を見透かしたかのように、彼は微かに微笑む。
私は時間を気にする素振りを見せる。
そう言うと、彼は鼻で笑う。
私とは反対に、彼は大分落ち着いているようだった。
そこで彼は言葉を区切る。
私は小さくため息をつく。
彼の表情は良く分からなかった。
だけど、
この言葉だけ覚えていた。
その後のことはよく覚えていない。
気付いたら、弟と大トロ食べてたし。
今思うと、本当に
あの目は、
人を狂わせる。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。