《Midnight Atelier》の看板の灯りが
今日はやけに揺れていた。
看板の灯りを管理しているのは璃譜。
璃譜の体調に異変があったりすると
看板の灯りにも影響を受ける。
自分の掌に浮かべた光を見つめると、
いつものように軽やかに跳ねる。
その言葉が、ほんの一瞬遅かった。
店の外...裏路地へ続く扉が、
音もなく開いた。
次の瞬間、璃譜の足元から、
影が立ち上がった。
咄嗟に璃譜が発した光が弾かれる。
そして視界が、黒く反転する。
風雅の声が届く前に、璃譜の身体は
夜の向こう側へ、引きずり込まれた。
そして扉が、閉まる。
何事もなかったかのように。
ルリアは震える手でカードを引く。
カードは『吊るされた男』。
その声が届く頃には
風雅は、すでに外へ向かっていた。
だが、夜路には痕跡がなかった。
魔力も、足跡も、時間の歪みすら。
...完璧すぎる。
薄暗い夜と夜の狭間。
璃譜は冷たい床の上に座らされていた。
手枷はない。
口も塞がれていない。
でも、光が使えない。
掌に何も浮かばない。
そのとき、重なるような2人の足音が聞こえた。
ハイライトの無い瞳が璃譜を貫く。
一瞬だけ奏は眉を動かしたが、
取り繕って再び無の感情へと戻る。
双子は虚ろな顔で嗤った。
背後で、
魔具が起動する音がした___
ボソリと店主は呟いた。



















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!