それから数週間が経ち。
もちろん、彼に会える訳もなく、でもやっぱり期待してしまう。
あなた
「 よしっ、やっと終わったぁ… 」
今日は上司から頼まれる仕事が多く、遅くまで残業になってしまった。
お腹空いた。何食べようかな。
なんて考えながら、駅までの道を歩いている時、ほっぺに水滴が落ちる感覚がした。
あなた
「 あれっ、雨? 」
と思ったら、どんどん強くなる雨。
私がいた場所は、前回慎くんに会えた屋根のある建物の近くだった。
なんとなく、そこで雨宿りすれば会えるんじゃないかと思い急いで走った。
あなた
「 はぁ… はぁ… 」
息を切らして向かったが、いるはずない。
あなた
「 やっぱりいるわけないよね、また会えるなんてあるわけないしね。」
と、自分に言い聞かせてまた走って駅まで向かおうと思った時。
「 あなたさんっ…!」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。