目を閉じると、鮮明に聴こえる蝉の鳴き声。
私はゴロゴロと床に転がりながらエアコンのリモコンを手に取る。
夏休み真っ只中。私は携帯の太宰先輩の連絡先の画面を開いては閉じたりを繰り返していた。
夏休みも中盤。
今年の夏休みは太宰先輩を遊びに誘う、なんて意気込んでたものの、未だ連絡の一つも出来ていない。
今日の昼間の事。外で偶然会った私達は、公園でアイスを食べながら話をしていた。
数時間前の会話を思い出しながら、またぼんやりと太宰先輩の連絡先の画面を見つめる。
ー私は、メールがあまり好きではない。
メールは、自分の感情を完璧に繕うことが出来る。
たとえ自分が傷ついていたとしても、その感情を相手には見せずに対話が出来る。
私は馬鹿だけど、相手の感情の変化に全く気づかないほど馬鹿じゃない。
相手が感情をあまり表に出さないような相手だとしても。
表情だけではない。仕草、声色。その感情の変化は相手の身体に顕著に表れるのだ。
あれも、きっと太宰先輩の感情が表れているのだろう。
夏休みに遊びに誘うとか、迷惑でしかないのか??
まあ成績優秀な太宰先輩なら、勉強とかしなくても推薦で行かんのかな…
よし、起きたら絶対に太宰先輩に連絡をする。
そう心に決め、私はエアコンガンガンの部屋で眠りについた。
道で偶然出会った2人。
芥川にとってこんなに嬉しいことはないだろう。
そう言って、芥川は思い出した様な表情になった。
太宰が少し驚いた様な表情になる。
太宰は驚いた、と言うより、戸惑いの表情をしていた。
そう言って太宰は去っていった。
私は目が覚め、勢いよく起き上がった。
外はもう薄暗い。もうすぐ夕食だ。
私は目を擦りながら携帯を開く。
一件の通知が来ていた。
…太宰先輩からのメール。
私は恐る恐るメールを開く。
私は携帯をベッドに放り出し、リビングに居る母の所へ走り出した。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。