改めて自分の料理を美味しいと言われるのは嬉しいなと思いながら目の前の雲雀に目を向ける
頬張る姿を見て今度はリスみたいだな…なんて思う
そう聞くと頬張りすぎて声を出せないのか頭を上下に振る雲雀
逃げる時はまるで翼が生えたかのように自由だからな〜
その逃走劇に魅了されている人は多いだろうな
そう言ってのける雲雀の顔は少し曇っていた
真っ直ぐで真剣な目つき。きっとこの言葉は本心なんだろう
「信じてる」 か…これに対して俺は「信じないで」と返したくなっていた
自然と俯いていた顔を上げる
そこには困ったように笑う雲雀が居た
渡会雲雀side
あなたの返答に少しだけ、ほんの少しだけ息が詰まった
喉の奥がつっかえるような、そんな苦しさ
でも、俺は馬鹿だから、あなたの返答の意図を読み取らないことにした
だから
信じて待っててもいいよな
こんな雑な嘘に付き合ってくるところ
謙虚すぎるところ
相手の気持ちを第一優先に考えるところ
本当に、ずるいなと思ってしまう
きっと俺が本当に捕まりそうになったら、来てくれるんだろうな
それは何かフェアじゃない気がするからやっぱり
それにその方があなたの隣に堂々と居れるだろうから
小声で聞こえてきた謝罪は聞かないフリをして
こう言う俺が1番ずるいのかもしれない
あなたが俺のテンションに弱いのは把握してる
その証拠にほら、
返事しちゃってるもん
謝るのは俺の方かもな、なんて
でも、ずるい手を使ってでも俺はあなたと空を飛びたい
この気持ちだけは本物だから
あなたが笑顔で空を飛べるその日まで、俺は信じて待ち続けるよ












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。