7歳の誕生日の真夜中、
父は母が寝入った隙を見て
一本のマイクを私に渡した。
時が来たら本当の使い方を教えてやると、
父は優しい眼差しで私を抱きしめてくれた。
そして、父が捕まる30秒前に
父は使い方の在り処を教えてくれた。
“俺みたいにはなるなよ。”
高校生になるまで解らなかった
この言葉の意味。
ようやく理解できた。
あなたへ。
俺があなたにあげたマイクは少し特殊だ。
極力使わないようにしてほしい。
そのマイクには小型カメラが内蔵されていて、
機械音っぽくはなるが、声が出せるようになる。
だが、その分反動が大きい…
喉を痛めて血を吹き出すかもしれない。
俺を追いかけてすぐ死ぬなよ?(笑)
閻魔 慈愛より
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。