案を挙げ、却下され、別の案を挙げてはまた却下され⋯⋯⋯
纏まることの無い三人の話し合いは、ループを繰り返す
相手はモグラと同系統の魔物
例え逃げようとしたとて、地面に潜られすぐに追いつかれ、挙句の果てには地中から奇襲されて全滅するのが目に見えている
ならば残された選択肢は〝戦う〟のみなのだが⋯⋯⋯⋯
リリーが即座に全力否定する
戦うことを選べば死ぬのかと思えてくるほどの必死さ
⋯⋯⋯⋯最も、比喩表現ではなく戦えば恐らく普通に死ぬのだが
本来中層よりも深い場所に居るべき魔物
そんな魔物とリリーたちが戦っても、勝率はゼロも同然
それに加え、ティアとシェリーが負傷していた場合、二人を守りながら戦う必要があるのだ
戦うなど実に無謀だと言えるだろう
それにしても、この怖がりようはリャーシャにどこか通ずるものがあるように思えるのだが───それはまた別の話
魔物は体勢を立て直し、再度前脚を振り上げる
鋭いツメがリリーたちを捉えた
対策の話に行き詰まったと捉えたパトリックが、時間が無いと言わんばかりに焦ったようにエルに話を振る
こう見えて優秀なエルならば⋯⋯、という僅かな希望をその瞳に灯して
それに対して、エルはいつも通りの調子で呑気に答えた
呑気に意味の分からないことを言い出すエル
命に関わることであることを自覚していないようなその様子に、とうとうパトリックがキレる
普段は温厚なリトーまでもがエルに異論を唱える
メンバーの間に深い亀裂が入る
エルは、何もヤケクソに後先考えず物事を考えているわけではない
呑気に楽観視しているわけでは無いのだ
エルの言葉にリリーたちが眉を顰める
例え、得意魔術や長所があったとしても、それだけでは何も変わらないことを知っているのだ
正直、このメンバーの内誰かの得意魔術や長所がどうこうで解決出来るような問題ではない
──────はずだった
エルの言う通り、三人は忘れていたのだ
ティアの得意魔術は全属性共通防御魔術、
シェリーの行使する魔術の長所は圧倒的超高火力
であったことを────────













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。