第28話

第22話 姉という距離(禪院真希視点)
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2026/02/22 12:50 更新
最初は、正直――
愛想のない人だと思っていた。

笑っているのに、
どこか冷めていて。

優しいのに、
一線を引いている。

それがあなた先生だった。


放課後。

グラウンドに残っていたのは、私だけ。

体術の打ち込み。
一人でやるつもりだった。

(なまえ)
あなた
フォーム、少し崩れてるね

背後から声。

振り返らなくても分かる。

禪院真希
禪院真希
……別に、
(なまえ)
あなた
別に、じゃない
禪院真希
禪院真希
ッ?!


軽く腕を掴まれる。

強い。

無理やりじゃないのに、
逃げられない強さ。

(なまえ)
あなた
真希はね


あなた先生は、私の構えを直しながら言った。


(なまえ)
あなた
呪力がないことを
"弱点”にしてない
(なまえ)
あなた
それって、凄いことやよ
禪院真希
禪院真希
……は?


一瞬、思考が止まる。

今まで言われてきたのは、


禪院家の者
出来損ない


禪院家の者
落ちこぼれ



禪院家の者
この家の恥め


なのに。


(なまえ)
あなた
呪力がないなら、身体を極めればいい

(なまえ)
あなた
それを本気でやってる

(なまえ)
あなた
私、そういうの好き

……胸が、妙にざわついた。

禪院真希
禪院真希
……おい、馬鹿にしてんのか?
(なまえ)
あなた
全然


即答だった。

真っ直ぐな目。

計算も、同情もない。

ただ事実を言っているだけ。


(なまえ)
あなた
もっと上行けるよ
(なまえ)
あなた
私が付き合うから
禪院真希
禪院真希
……ありがと


その日から、
特訓は増えた。

容赦はない。
甘やかしもない。

でも。

出来た瞬間は、
ちゃんと笑ってくれる。

(なまえ)
あなた
真希 今のは、いい判断
(なまえ)
あなた
前よりいいねニコッ
禪院真希
禪院真希


その一言が、
こんなに響くなんて。



ふと、思ったんだ。

禪院真希
禪院真希
(……もし)


もし、私に
“普通の姉”がいたら。

こんな感じだったのかもしれない。

口は悪いけど、
ちゃんと見てくれて。

ダメなところも、
武器だって言ってくれる。

真依が、
こんな人に守られていたら。

少しは、
違ったのかもしれない。


禪院真希
禪院真希
……先生
(なまえ)
あなた
ん?
禪院真希
禪院真希
……ありがと


言った瞬間、
自分でも驚いた。

素直な言葉。

あなた先生は、
少しだけ目を丸くしてから。

(なまえ)
あなた
どういたしまして、真希🌟


柔らかく笑った。

その笑顔は――

前に見た
“じわじわ壊す”人の顔じゃない。

ただの、
姉みたいな顔だった。


禪院真希
禪院真希
(……悪くねぇな、姉みたいな存在がいんの)


少しだけ。

本当に少しだけ。

安心してしまった。


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