第29話

第23話 目を閉じたままの春
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2026/02/26 07:39 更新
それは、あまりにも突然だった。

恵の姉、
**伏黒津美紀**が倒れたのは。

原因不明の昏睡。

外傷もない。
呪力の痕跡も、はっきりしない。

ただ――
“呪いに触れた”としか言えない状態。

(なまえ)
あなた
ついに来たのか…
あなたと五条は動いた。

資料を洗い、
古い呪詛記録を辿り、
高専の蔵書も、御三家の禁書も調べた。

だが、

五条悟
五条悟
術式の痕跡が薄すぎるね…
(なまえ)
あなた
薄い、?
五条悟
五条悟
うん。これは…呪いというより、“条件付きの縛り”に近いかも
(なまえ)
あなた
……


あなたは、眠る津美紀の手をそっと握った。

温かい。

生きている。

けれど――
目覚めない。

(なまえ)
あなた
(絶対に解いてみせる……受肉体になんて、させないからな)


そう言いながらも、
確証はなかった。

何も、掴めない。

最強であっても。

私 自身の十種影法術が完全体であっても。

出来ないことは、ある。


ただ、
寝ている彼女を見るしかなかった。

規則正しい呼吸。

穏やかな顔。

まるで、
悪い夢を見ているだけのように。



それから時が流れた。

恵は高校生になり、
呪術師になった。

任務をこなし、
傷を増やしながら。

強く、静かに。


ある日。

一人で病室に入る。

白いカーテン。
静かな機械音。

ベッドに眠る姉。

伏黒
伏黒
……


少しだけ、視線を逸らす。

弱い顔は、見せたくない。

伏黒
伏黒
早く起きろよ…

小さく、吐き捨てるように。

伏黒
伏黒
馬鹿姉貴


その声は、
怒っているようで。

どこか、寂しい。

拳を握る。

爪が食い込む。

それでも、泣かない。

泣いたら、
負ける気がするから。
伏黒
伏黒
俺、呪術師になった
伏黒
伏黒
だから……


続きは、言えなかった。

守ると言ったのに。
守れなかった。

守る力を、今さら手に入れて。

遅すぎる。


病室の外。

あなたは黙って立っていた。

五条も、何も言わない。

ただ、
あの少年が背負う重さを知っている。
(なまえ)
あなた
…悟、 恵のこと代わりになるか分からないけど支えてこうね
五条悟
五条悟
そうだね、、津美紀の代わりになるか分からないけど…
五条悟
五条悟
僕らで支えてこう


それは誓い。

禪院を壊すよりも、
誰かを守るよりも。

優先順位の一番上にある願い。

部屋の中。

恵は最後に一度だけ振り返る。

眠る姉は、変わらない。

でも。
伏黒
伏黒
……待ってろよ

今度は、はっきりと言った。

静かにドアが閉まる。

春はまだ、
目を覚まさない。

けれど。

その日から。

伏黒恵は、
ただ強くなるためだけに生き始めた。

伏黒
伏黒
(俺……強くなるから)

それが、伏黒恵という男の覚悟だった。


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