次の日、早速ポジション決めが始まった。
リーダーは揉めることもなくシヨンオッパに決まり、そのままセンター決めへと進んでいく。
その言葉に6人が手を挙げた。
それぞれがセンターに立候補した理由を話し、ボーカルテストに移ろうとしていた時だった。
突然名前を呼ばれ、思わず隣にいた結の方を見る。
センターに立候補していたはずの結が、なぜか私を推薦していた。
たしかに私は今までセンターやリーダーのような役割に自分から立候補したことがない。
結の言う通り、悪目立ちしないためだ。
でも今回のコンセプトを考えると、私がセンターをやるのはちがうきがしていた。
もっとふさわしい人がいるはずだ。
結は少し得意げに笑う。
気づけば、あちこちから声が上がっていた。
顔を上げてみんなを見ると、ただ優しい表情でこちらを見ている。
私はここで自分の意思を出してもいいのだろうか、
そもそもここでやりたいと言ったからといって、すぐセンターに決まる訳じゃない。
ボーカルで審査をして、みんなの投票で決める。
参加するだけでも意味があるのかもしれない。
何より、結がくれたチャンスを無駄にしたくなかった。
ようやく絞り出した声は、自分でも驚くほど小さかった。
それでもみんなは笑顔で頷いてくれる。
その言葉を合図に、立候補者たちが1人ずつ歌い始める。
そして全員の歌唱が終わったあと、無記名投票が行われた。
集計が終わり、吉成くんが紙を手に立ち上がる。
一瞬、意味がわからなかった。
けれど次の瞬間、みんなの拍手が聞こえてくる。
胸の奥から何かが込み上げてきて、心臓がうるさいくらいになっていた。
本当に、なってしまった。
拍手に包まれる中、シヨンオッパがセンターマークを貼ってくれる。
初めてのセンター。
みんなに選んでもらったんだ。
責任も、自覚も、覚悟も全部必要。
センターというのは、全てを理解した上でみんなの中心に立つ人。
私はその意味を理解しているつもりだった。


















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。