あなたside
聞けばなんやねん、デビューの話やないか。
『 ... デビュー、したいと 』
藤原〈 まぁ、そーなんやけどさ、 〉
『 あっ、違うのね? 』
藤原〈 ... デビュー、出来るんかなと、 〉
『 ... 自信が、無い 』
藤原〈 そゆこと、 〉
そう言う丈の声はカスカスで、丈らしくなかった。
何か自信が無くて、震えてるみたいだった。
藤原〈 大人気ないことは分かってんねんな。なんやけど、なんて言うんかな、。ほんまにデビューできる日が来るんかなっていうあれ、 〉
『 はあ ... 。馬鹿だなあ 』
藤原〈 馬鹿? 〉
『 うん、馬鹿 』
藤原〈 まあ、あなたよりは頭悪いけど、 〉
『 そゆことじゃない。単純に、馬鹿 』
藤原〈 ... 俺、真剣に話してんねんで 〉
『 知ってる。知ってるからこそ、馬鹿だと思う 』
藤原〈 ... 電話、するなと 〉
『 もっと違う 』
藤原〈 ... はい、? 〉
--------------------------------------------------------------------
♡8で次話
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。