第5話

中本 side
1,335
2024/02/28 03:44 更新
「でさー、あん時の道宮が、」
清水「あなた。」


私が話していると、潔子が遮るように声をかけてきた。
珍しいなと思い驚いていると、気づいた。
潔子と2人きりの時、私がこんなに喋っていること自体が珍しいのだ。
さっきの話題で動揺していたことを自覚した。
「…なあに、潔子」
なんでもないように笑って見せると、躊躇うように口を開け閉めする。
折角の美人なのにあほ面になっちゃうよ。嗚呼でも、あの子なら…夕くんなら、それでも美しいって言うのかな。
清水「あなたは、まだ西谷のこと…っ、」
男子「あれ!中本さんと清水さん揃ってんじゃーん」
此奴…潔子が喋ろうとしてたじゃん、なんて言えないけど。こういう人苦手。
「あれ○○くん!ちょー久しぶり!!元気してる?」
男子「元気元気!つか同じクラスなのに久しぶりって変だな(笑)サボってた俺が悪いけど!」
潔子を守るように間に立ち話していると、遠くから聞こえてくる、久しぶりに聞く声。
西谷「あ!潔子さーん!!」
「っ…!」
相変わらず潔子が世界一大好きな、小さくて頼もしい彼。
男子「つーか中本さんのことさ、名前で呼んでいい?」
隣で潔子に弾丸トークする彼には目もくれず話し出す男子。
「、え?名前ー?急じゃんどうしたの!」
男子「ずーっと思ってたんだよーあなたって呼びたいなって」
見ないで、早くどこかへいって。すぐ帰らせてくれるなら潔子連れてってもいいから。
それでも、横からの視線が刺さる。
「名前呼び急すぎて照れるからやだー(笑)」
私、いつからこんな下品な女になったんだろう。
いつも通りにしないとって、皆と仲良くなりたいって空振って、空振って、こんなんなっちゃって。
こんな私を見られたくないのに、どうしてそんなに見てくるのかな。
あの時は、目も合わせてくれなかったのに。
西谷「あの」
少し冷たい声が耳に響く。
西谷「中本先輩嫌がってるんで、やめてあげたらどうすか。」
夕くんが、たすけてくれた
嬉しくて、でも、中本先輩呼びに、暖かくなっていた心が冷えて。
いつだって、掻き回すのは君だよね。
男子「はぁ?何言ってんの、どこが嫌がってんだよ」
西谷「顔見ても分かんねーとかやばいなアンタ。必死に取り入ろうとしてきて引いてんだよあの人は。」
あ、これはだめ。
夕くんに矛先が、向く。
清水「西谷、落ち着いて、」
潔子の手が彼の肩に触れる。それでも止まらない。
西谷「潔子さんは黙っててください。
好きな女の気持ちも読み取れないなら、アンタに中本先輩を口説く資格ねーよ。」
お互いに掴みかかりそうで、慌てて止めた。
「落ち着いて、ゆ…っ、西谷くん!○○くん!」
男子「な、っかもとさん、」
西谷「っ…、」
珍しい。潔子に言われても止まらなかったのに。
「私は大丈夫です、ありがとう西谷くん。
○○くんも、男子に名前呼びされるのは慣れてないから、また今度ね。」

「行こう潔子。遅れちゃう。」
なんだかこの場にいたくなくて、潔子の手を引っ張って歩いた。




清水「あなた、っあなた!」
我に返った。なかなかのスピードで歩いていたらしい。
「ごめん、潔子。手痛かった?」
清水「ううん、大丈夫。それより、あなた、やっぱりまだ、西谷のこと好きでしょ」
図星。
まあさっきの見られたら、バレるよね。
「そ…うだね、うん、すき。そう簡単に諦めるなんて、むり」
清水「じゃあ、やっぱり、もう1回ちゃんと話し合おうよ」
潔子は分かってないなあ。話し合っても、同じようになるだけ。ならなくても、ヨリなんてもう戻せない。
「話し合っても無理ないよ。ヨリも戻せない。そもそも私から行くなんて、振った女だよ。都合良すぎるでしょ。
西谷くんがヨリ戻したいなんて思ってないわけだし、もういいの。」
清水「じゃあ…せめて、バレー部には戻ってきて。入部届見たでしょ、いい1年生が入ってきたの。あなたが居てくれたら、烏野はもっと伸びる。」
それでも、結局私は潔子に甘い。
「…練習試合の時ね。決まったら教えて」
バレーボール…久しぶりだ。

プリ小説オーディオドラマ