気まずくなって、そっとドアへ足を向ける。
あんた、私聞いたよね?奈々のことなんか知らないかって
言葉を失い、ぐっと唇を噛む。
準備室に、張り詰めていた空気がふっと和らぎ、三人の笑い声が重なった。
バタッ
声を震わせながらも必死に呼びかける。
琴乃の焦りにびっくりして振り向く。
反応はない。胸に手を当て、脈を確かめる。
息が詰まりそうになる。
咄嗟に琴乃は心臓マッサージを始めた。
怒鳴る声に、自分でも驚く。
本来なら、救急車を呼ぶべきだろう。
でも、それはしなかった。なぜなら、奈々のことがばれてしまうから。
あなたの下の名前は、翠が車で病院に向かってる途中も、ずっと奈々の心マをしている。
その声には緊張が含まれていた。医師たちが素早く動き出す。
あなたの下の名前は、緊張で力が入った腕の痛みや疲労を感じつつ、心臓マッサージを続ける。
30分以上、一人で必死にやってきた。
手が震え、汗で指先が滑る。
体中が熱を帯び、呼吸が乱れる。
だが、フラッときて膝がガクッと揺れる。
倒れそうになる瞬間、医師がすっと手を差し伸べて支えてくれる。
その声は落ち着いていて、自然に体が安定する。
労いの言葉に、あなたの下の名前の胸の中で固まっていた緊張が少し溶けていく。
言葉にならない。疲労と安堵が入り混じり、息を整えることしかできなかった。
医師たちはすぐに診察と処置に入る。
看護師が素早く準備し、あなたの下の名前にマスクを装着してくれる。
酸素が肺に入ると、体の奥が少し軽くなるのを感じた。
腕に針が刺さる。液体が静かに体内に流れ込む。
ベッドに横たわると、今までの緊張と疲労がどっと押し寄せる。
優しい声。琴乃は目を閉じ、深く息をつく。
その間、奈々の容体は…












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。