約半年ぶりの日本ということで、ホテルにキャリーケースを置いてから、お互いの両親に挨拶を軽く済ませた後、喫茶店へと足を運んだ。
そこはこじんまりとしていたが、雰囲気がいいお店で、数分居ただけて居心地の良さを感じる。
タツノリの言っていた通りで、個人的にまた来ようと思うくらいには気に入る程であった。
「な、良くない?」
「おん、ホントに俺が好きな感じ」
「やろ、やっぱそうやった」
タツノリはブレンドコーヒーを、俺はそのコーヒーに日替わりのケーキもプラスして付いてくるセットを注文する。
「つか、がたい良くなった?」
「あ、わかる?つってもほんのちょっとやと思うけど。2、3キロくらい」
「いや、全然わかるで」
「そーなん?自分ではあんまわからんわ」
「つっても、重くなんの嫌やったから、増やしたくなかったんやけど、新しいとこの監督から増やせって言われてさ、仕方なくな」
「あーそうやったん笑、やけどよかったんやない?」
「時間あるときに試合見てたけど、リーグ後半はブロックとか特にブレが少なくなった気ぃすんもん」
「それは、言われたわ。やから結果的には良かったとは思っとる」
ちょうど話が区切りというときに、「お待たせしました」と注文したコーヒー2つとケーキが届く。
2人して「ありがとうございます」と、立ち去る店員さんにお礼を言う。
注文したセットの日替わりケーキはチーズケーキだったらしい。
しっとりした質感のケーキをフォークで一口サイズにし、口に運ぶ。
「うま、タツノリも食べる?」
「ん、俺はええよ。あなた、甘いの好きやんか、全部食べたら」
「別に一口くらいやったら気にせんし、美味しいもんはシェアしたいやんか」
「そ、やったら貰うわ」
タツノリにフォークを渡し、俺はコーヒーに口を付ける。
うん、ほどよい苦さがチーズケーキと合ってこれまたいい。
「ほんまや、美味い」
軽く微笑んでそう感想を言う彼は「ありがと」とフォークを返してくる。
「幸せやな」
流れるBGMにゆったりとした店内、そして美味しいコーヒーに甘味。
バレーでバタバタしていた中に、ほんのちょっとのんびりできる時間が染みる。
ぽつりと呟いた俺に「そやなぁ」と、こちらが聴き逃しそうになるようなささやかな同意が聞こえた。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。