多々良 side
…………放課後、教室に清水先輩が迎えに
来てくれて、新マネ希望の谷地さんと
合流し3人で体育館に。
流石に集団に囲まれるのが未だに慣れず、
かといって男子が女子の清水先輩の背中に隠れる
というのもおかしく、体育館に入る前に
僕だけ扉の影に逃げる。
開けたと同時に鼻腔をくすぐる汗の香りと、
部活らしい会話。
感じてみたいと思っていたものが目の前にある
嬉しさと、あのなかに加われそうもない表現
し難い怖さ。
彼がいれば。
そう思い、気付かれないように見覚えのある
黒髪を探した。
ーー…………でも。
バレー部「「シァース!!」」
…………い、一体年齢いくつなんだあの長髪の人。
身長凄いし、ヒゲ生えてるし、
しかもあの坊主頭の人なんかは目怖いし!!!
この集団怖い…。あの坊主頭の人ヤ○ザ?
めっちゃ目付き怖いし!
なんか入っちゃいけないテリトリーに
踏み込んじゃったネズミみたいなんだけど僕!!
ーー………その時。
…………ヤバい。バレた。
どうしようどうしようどうしよう!!?
この人身長僕と同じくらいだけど気配からして
明らかに先輩だよね!?
それにこの人の一言で視線が全部こっちに
向いたし~!!(泣)
あの人も見当たらないし、ここ何か怖い人
いっぱいいるし!!
どんどん思考は機能しなくなって、代わりに
恐怖と冷や汗だけは際限なく増えていって。
まるで蛇に睨まれた蛙のように、扉に手をかけた
まま動けなくなっていく。
口が動かない。息が上手く吸えない。
嫌だ。怖い。死ぬーーーー…………!!!!!!
(←死なないっての☆)
なにもできずその場で目を固く閉じた時だった。
その時、人混み(?)の中から誰かが僕を呼んだ。
その呼び方をする人は兄さん以外にごく限られて
いて。
すぐに誰が呼んだのか分かった。
目を開けた先には、そう僕を呼んだ彼が目線を
合わせて「お前は?」って言ってきた人の隣に
居て。
飛雄さんが変わらない笑顔で笑ってた。
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影山くんと多々良くんの間は潔白です!
どういう関係なのかは、近いうちに出します!!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。