旅行テンションってすごいな、とひしひしと感じていた。
余りにも楽しくて、こんなに笑ったのも久しぶりで、
雪が降るくらい寒いのに、リノヒョンは汗でベタベタになってるし、
結局コテージについた辺りで半ば投げ出される形で下ろされた。
捕まってるこっちはもうたまったもんじゃない。手にグローブとボールを持ってるし、何度も振動で振り落とされそうになった。
玄関に入って靴を脱いでやっと座ると、疲れはますますどっと体に降ってきた。
部屋からイエニの声がして、何とかして立ち上がると部屋に入った。
リビングのゲームは消されていて、一階のオンドル室でヒョンジニとイエニが寝転んでいた。
ヒョンジニは描きたかった絵が完成したようで、小さなスケッチブックが壁に立てかけられていて、その横でぐっすり眠っていた。
エンディング妖精さながらにはぁはぁと息をしながら帰ってきた自分たちを見て、イエニは若干引き気味でそう言ってくる。
それからイエニにキャッチボールをして歌っておんぶされて帰ってきた話をする。
テンションが限界突破しているリノヒョンはいつも通りに目を爛々とさせて、休んでいたイエニに飛びつこうとした。
敬語とタメ口が混ざった独特の言い回しで回避すると、イエニは逃げるようにして部屋を出て行った。
リノヒョンはヒョンジニの描いた小さな絵の横で足を放り出して座り込んでいた。
確かに、あんまり他人と風呂に入るのは好きじゃない。
人に体を見られるのを好まないのもあったし、それを言うならリノヒョンもあんまり好きじゃないはずだ。
譲り合いが加速して、このままだとせっかくイエニが溜めてくれたお湯を無駄にしてしまう。
結局、お互いに折れて一緒にジャグジーでゆったりすることにした。
リノヒョンは昨日入ったから水着は脱衣所に干してあったし、そのまま直行していった。
グローブとボールを入れてきた袋に丁寧に詰め直して、水着とラッシュガードと着替えを持って脱衣所に行くと、着替えてテラスに出た。
端から恐る恐る入ると、並々に張られた湯は一気に溢れかえってテラスの床に流れて行った。
心地よさに思わず大声で言うと、リノヒョンは端っこで噴き出していた。
おじさんになったつもりはないけど、チャニヒョンが25歳になった時に50歳ハーフって言ったことを思い出した。
仕事こそ何年も続けてきたし、プロ意識は何年も前から持っていた。
理不尽でもハードスケジュールでも、やりたいことだし、やらなきゃいけないことだし、それをこなしていたらいつのまにかこんなにも年月が経っていた。
楽しかったな、しんどかったな、でも楽しかったな、と思い出していると、次第に心が情緒たっぷりになってきた。
今日は少し疲れたし、楽しくてぼうっとしてきたし、一緒に作るのもいいかと思いながら快諾してジャグジーを出た。
リノヒョンは楽しそうに鼻歌を歌っていた。
シャワーを浴びてすっきりして出ると、イエニもお腹すいたと言い始めた。
日常生活ならその日の気分で、食べるものを決められるけれど、旅行となればそうもいかない。
朝、昼、夜と、ちゃんとしたメニューを考えてきたつもりだった。
リノヒョン、ヒョンジニ、イエニの好みも考えて。
みんなの食事制限のことも頭に入れていた。
そういうことを考えてる時はとても楽しい。
みんなのために役に立ててる時、ヨンボギのために頑張れる時、仲間を大切にしたいって思える自分の心がとてもあったかくて。
外に火を起こしに行くと、空はすっかり暮れかけていた。
イエニが食材を出してくれて、風呂から出たリノヒョンも合流して、三人で下準備をしていく。
一人でみんなのために何かをするのも良いけれど、みんなでわいわいとやるのもいいな、と思った。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。