バァァン!
バァァン!
辺りには銃声が絶え間なく響いている。
私は後方から前線を駆けるエル、スピカの2人を援護する。
他の子達はきっと怯えているのだろう。
無理もない。
私も怖い。
引き金を引く度に、誰かが死んでいるのだと思うと恐ろしくてたまらない。
だが、これは私たちに下された命令。
国を守るために、犠牲を承知に戦わなければならない。
この戦場では、人のことなど気にしてはいられない。
あの二人のように、危険を恐れずに敵軍を迎え撃つような勇気を持つ者は少ないだろう。
私もその1人だ。
私は後方で二人を援護し、二人が少しでも突き進めるようにする。
今の私には、それしかできない。
人を殺める焦りが私の呼吸を乱す。
それでも、私はやらなければならないのだ。
私はまた、銃を構える。
慎重に狙いを定め、引き金を引いていく。
その度に、敵軍の兵士は倒れていく。
地獄映像······
きっとこのような光景を表すのだろう。
声がした方へ振り返ると、ミラ姉とナミアが私の後ろの壁に隠れていた。
緊張の糸が、1本だけ解けた気がした。
私たちは走り出した。
私たちが前に進まなければ、負傷した子を救護班が手当できない···確かにその通りだ。
救護班が殺られては、私たちは死へと真っ逆さまだろう。
少しでも、敵軍の狙いが狙いが集中するように···!
スピカとエルの活躍のおかげで、敵軍の数が少し減っている。
私たちは2人ほど動けないが、少しでも敵を減らすことはできる···!
私は周りをしっかり見ながら走り続ける。
すると、後ろから戦闘班の子供たちが走ってきた。
彼女たちは前線を走る5人に影響を受け、自らも飛び出したのだ。
私たちは『孤児隊』であるのだと実感した。
私たちは仲間であり、共に戦う戦友なのだ。
後ろでも倒れる子がいる。
それ以上に、敵軍も倒れる。
私たちは銃を撃ち、撃たれを繰り返す。
戦場では変わらず銃声だけが響く。
あまりにも残酷な光景に、目が眩む。
それでも、私たちは敵軍を殺し続けた。
気づけば私たちの視界には、敵軍の姿はなかった。
辺りには敵軍、味方軍の死体が転がっている。
私にそう声をかけてきたのはノン。
訓練で仲良くなった心優しい子だ。
視界に、エルとその後ろを歩くスピカが見えた。
2人とも血まみれだ。
だが、目立った外傷は見られない。
エルが右手をグーにして上にあげる。
その瞬間、私はその場に座り込んだ。
やっと終わったのだ。
実際には短かったが、体感では何十時間もこの場所にいるようだった。
だが、私たちの周りには到底安心などできない光景が広がっている。
それを見る度、今まで感じたことの無い罪悪感が私たちを押し潰す。
ノンは目から涙を流す。
私は自分の両手を見ていた。
少し血が滲んだ手。
銃をずっと構えていたからか、皮が擦りむけている。
この手が、大勢の人々を殺したのだ。
私の元に、救護班の二人が駆け寄ってきた。
二人の顔は、不安や恐怖で覆われているように見える。
マリーはそう言って私を心配する。
すると、となりにいたメロディは立ち上がった。
メロディは少し離れたところにいる二人の元へ走っていった。
マリーは行ってしまった。
私はゆっくり立ち上がり、ゆっくりと歩き出した。
マリーが言っていた場所には、何人もの子供がいた。
奥には死体が並べられている。
子供たちは体を撃たれたりして、救護班の応急処置を受けている。
敵軍は全滅したが、私たちもただでは済まなかった。
私がその様子を見ていると、ミラ姉が運ばれてきた。
ミラ姉は右腕を撃たれていて、大量に出血していた。
その後ろにはナミアが死人のような顔をして歩いていた。
ナミアは私の元までそのまま歩いてきた。
ミラ姉は死んでいない。
今、生きているのならば軍事施設に戻り本格的な治療を受ければ大丈夫。
そう自分に言い聞かせた。
だが、内心は不安でいっぱい。
ナミアは撃たれる瞬間を見てしまったのだ。
その光景が目に映らなくなるのは時が経ってからだろう。
今、私たちにできることはミラ姉の無事を祈ること。
そして、隊の勝利を喜ぶこと。
······それだけだ。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!