あの戦いから1週間。
軽傷だった子は訓練を再開し、重傷だった子はまだ復帰していない。
今日は、エルから話があるらしい。
エルは前線をスピカと走っていたが、2人とも無傷だったとのこと。
私もあの2人くらい動けるようにならないと、きっと戦場では生き残れないだろう。
私の腕にしがみつくナミアの顔は、あの日と変わらない。
エルがそう言うと、メルアが扉を開けた。
そこからは数十名の子供たちが出てきた。
あの戦いで私たちの隊は人数が減った。
その枠を埋めるためだろうか。
国がこの子達をこの場所に寄越したんだろう。
エルはその子たちを呼び寄せ、部屋を出ていった。
出てきた子達はゾロゾロとエルに着いていく。
すると、メルアが前に出た。
メルアがそう言うと、私たちは班ごとに訓練に移った。
訓練中。
私の頭には、あの子たちの姿が浮かんだ。
次にまたあんな争いがあれば、また誰かが犠牲になるんだ。
国のために。
政府は何を考え、行き場のない孤児たちを死なせるのだろうか。
私は、日々国への怒りが溜まっていた。
その怒りは膨らみ、だんだんと憎しみに変わっていくようだった。
あの戦いの後から、毎日私たちはお墓に行った。
死んだ子達のお墓へ。
無惨にも敵兵に殺され、国のために犠牲になった彼女たちは、施設の敷地内の墓地に埋められた。
私達も、1歩間違えればそうなってしまうのだ。
そう思うと、政府への恨みがより一層強くなった気がした。
翌日。
私は訓練をしにいつもの場所に来た。
すると、見たことない顔がいくつか並んでいた。
昨日入った子たちだろう。
その1人が私の元に歩いてきた。
ミミハは私の近くにいた子のところに行ってしまった。
よほど猫が好きなのだろう。
猫に言葉を蝕まれている···。
私は何事にもメリハリが大事だと感じた。
ミミハに気を取られていて気づかなかったが、私の目の前には見た目がそっくりな子供が二人いた。
仲が良さそうな子達だ。
双子だろうか。
あの子たちも、争いに巻き込まれたんだ。
新たな犠牲者たちが、また現れたんだ。
······私はミラ姉を思い出した。
ミラ姉は結局、右腕を失った。
あの状態でも、もう少ししたら訓練に参加しなければならない。
ミラ姉の右腕を奪ったのは敵軍じゃない。
政府だ。
争いの中でミラ姉は必死に頑張っていた。
私たちを前に進ませてくれた。
ミラ姉の言葉がなかったら、私はきっとあの場から動けなかった。
感謝してもしきれない。
大怪我をおった子が生き残れたのは、私たちを前に進ませたミラ姉なのだ。
ミラ姉のおかげだ。
なのに、敵軍はミラ姉に代償を払わせた。
右腕という大きな代償。
私の中で、敵軍と政府が重なる。
真の敵は、政府なのではないか?
そんな疑問が私の脳裏に浮かぶ。
だが、私たちはそれに逆らえない。
私たちが戦わなければ、国はもっとひどい状況になる。
私は、日々訓練を続けた。
あの戦いから1ヶ月が経過した。
私たちは軍事施設の偉い人···ラモンさんに呼ばれていた。
ラモンさんの部屋へ行くと、どこか真剣な表情で私たちを待っていた。
ラモンさんは、私たちが全員室内に入ると、話し始めた。
ラモンさんは、敵軍が私たちに敗れた今がチャンスだと、そう言っていた。
この間に一気に敵兵を潰すのが狙いだと。
戦場に行くのは、私たち孤児隊と1番隊。
だが、それだけではない。
私たちが1方向から攻め、また別の2番隊、3番隊が別方向から攻める形。
つまり、挟み撃ちということだ。
それをして、ラモンさんは敵兵を一気に潰すと言っている。
私には、何故か「上手くいかない」という予感がしていた。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。