第9話

07. 勝利の代償と新たな犠牲者
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2024/03/23 20:59 更新

あの戦いから1週間。

軽傷だった子は訓練を再開し、重傷だった子はまだ復帰していない。

今日は、エルから話があるらしい。

エルは前線をスピカと走っていたが、2人とも無傷だったとのこと。

私もあの2人くらい動けるようにならないと、きっと戦場では生き残れないだろう。

私の腕にしがみつくナミアの顔は、あの日と変わらない。
エル
みんな!きいとくれ!
エル
今日から新しく隊に入る子たちがいる!
エル
もう班分けは済んでる、仲良くしてやってくれ!

エルがそう言うと、メルアが扉を開けた。

そこからは数十名の子供たちが出てきた。

あの戦いで私たちの隊は人数が減った。

その枠を埋めるためだろうか。

国がこの子達をこの場所に寄越したんだろう。
エル
よし、着いといで!

エルはその子たちを呼び寄せ、部屋を出ていった。

出てきた子達はゾロゾロとエルに着いていく。

すると、メルアが前に出た。
メルア
皆さんはいつものように訓練をしてください
メルア
あの子たちは明日から訓練に参加します

メルアがそう言うと、私たちは班ごとに訓練に移った。

訓練中。

私の頭には、あの子たちの姿が浮かんだ。

次にまたあんな争いがあれば、また誰かが犠牲になるんだ。

国のために。

政府は何を考え、行き場のない孤児たちを死なせるのだろうか。

私は、日々国への怒りが溜まっていた。

その怒りは膨らみ、だんだんと憎しみに変わっていくようだった。

あの戦いの後から、毎日私たちはお墓に行った。

死んだ子達のお墓へ。

無惨にも敵兵に殺され、国のために犠牲になった彼女たちは、施設の敷地内の墓地に埋められた。

私達も、1歩間違えればそうなってしまうのだ。

そう思うと、政府への恨みがより一層強くなった気がした。


翌日。

私は訓練をしにいつもの場所に来た。

すると、見たことない顔がいくつか並んでいた。

昨日入った子たちだろう。

その1人が私の元に歩いてきた。
子供
おはようにゃ!ミミは、ミミハって言うにゃ!
あなた
(にゃ······?)
ミミハ
あなたはにゃんていうにゃ?
あなた
あなた······
ミミハ
あなたにゃ?
あなた
うん
ミミハ
よろしくにゃ!
あなた
あ、うん···
ミミハ
あ、そこの君ー!

ミミハは私の近くにいた子のところに行ってしまった。

よほど猫が好きなのだろう。

猫に言葉を蝕まれている···。

私は何事にもメリハリが大事だと感じた。
子供
あ、あの······
子供
集まる場所はここで合ってる?

ミミハに気を取られていて気づかなかったが、私の目の前には見た目がそっくりな子供が二人いた。
あなた
合ってるよ
子供
良かった······
子供
······ほら、訓練行くよ
子供
あ、ちょっと待って
子供
あの、私たち、戦闘班になったリイナとライナです
リイナ
よろしくお願いします
ライナ
············
あなた
私はあなた、よろしくね
リイナ
はい!
ライナ
リイナ、行くよ
リイナ
あ、待ってよライナ!

仲が良さそうな子達だ。

双子だろうか。

あの子たちも、争いに巻き込まれたんだ。

新たな犠牲者たちが、また現れたんだ。


······私はミラ姉を思い出した。

ミラ姉は結局、右腕を失った。

あの状態でも、もう少ししたら訓練に参加しなければならない。

ミラ姉の右腕を奪ったのは敵軍じゃない。

政府だ。

争いの中でミラ姉は必死に頑張っていた。

私たちを前に進ませてくれた。

ミラ姉の言葉がなかったら、私はきっとあの場から動けなかった。

感謝してもしきれない。

大怪我をおった子が生き残れたのは、私たちを前に進ませたミラ姉なのだ。

ミラ姉のおかげだ。

なのに、敵軍政府はミラ姉に代償を払わせた。

右腕という大きな代償。

私の中で、敵軍と政府が重なる。

真の敵は、政府なのではないか?

そんな疑問が私の脳裏に浮かぶ。

だが、私たちはそれに逆らえない。

私たちが戦わなければ、国はもっとひどい状況になる。

私は、日々訓練を続けた。

あの戦いから1ヶ月が経過した。

私たちは軍事施設の偉い人···ラモンさんに呼ばれていた。

ラモンさんの部屋へ行くと、どこか真剣な表情で私たちを待っていた。

ラモンさんは、私たちが全員室内に入ると、話し始めた。
ラモン
······今度は、私たちから攻撃を仕掛ける
あなた

ラモンさんは、敵軍が私たちに敗れた今がチャンスだと、そう言っていた。

この間に一気に敵兵を潰すのが狙いだと。

戦場に行くのは、私たち孤児隊みなしごたいと1番隊。

だが、それだけではない。

私たちが1方向から攻め、また別の2番隊、3番隊が別方向から攻める形。

つまり、挟み撃ちということだ。

それをして、ラモンさんは敵兵を一気に潰すと言っている。

私には、何故か「上手くいかない」という予感がしていた。

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