第5話

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2021/01/31 09:07
Side Ibuki,Hiragi
in職員室
森崎「___先生、柊先生!」
俺は耳に付けていたイヤホンを外して声の主森崎先生の方を見た
森崎「体操始まりますよ」
もうそんな時間か
柊「あ、はい」
立ち上がって毎朝恒例の朝礼体操を始めた
…これは体操なのか?
こんな日常の光景は俺がこれから起こす事件なんて知らないとでも言うように過ぎて行く
市村「それではみなさん、卒業式まであと10日です。今日も無事に、平和に、穏便に、お願いします。」
校長の口癖無事に、平和に、穏便に
その口癖を今日も言って朝礼を終えた
坪井先生と校長が保護者のクレームについて話してる間に森崎先生が俺の方に寄ってくる
森崎「柊先生、今日終わったらご飯でもどうですか?」
柊「今日は、ちょっと予定が」
この人の好意は丸分かりだが俺はこの人にあまり興味がない為適当に流した
森崎「え、じゃあ明日は?」
諦めないなこの人
柊「明日も予定が」
やんわりと断っているのに気が付かないのか…
森崎「じゃあ明後日は?」
諦めないな
そう思っていると武智先生が声をかけてきた
武智「柊先生、これ来月出る新刊です。
良かったらどうぞ」
心底要らないし興味がない
武智「サインもしておきましたから」
すみませんが必要ないです
森崎「いらねぇ……」
共感しか無い
そう思っていると切り替えてまた寄ってくる
森崎「明後日がダメなら明々後日、やの明後日でもいいです、何なら後の明後日でも…」
佐久間「柊先生!宅配便届いてます、すごい量の!」
正直うんざりしていると佐久間先生がタイミング良く俺に声を掛けた
柊「あ、今行きます!」
暫くして荷物を受け取って荷台で運ぶ。
生徒がまだ登校途中な為か大分騒がしい。そんな廊下から笑いながら2人の生徒が後ろから歩いてくる。
___〝魚住華〟と〝宇佐美香帆〟俺が担任をしているクラスの生徒だ
魚住「先生、ドォーン!」
魚住は荷台の荷物に体当たりをして笑いながら俺の方を見た
宇佐美「ホームルーム、遅刻すんなよ~
そのまま笑って俺の横を通り過ぎる
これが壊れたら如何してくれるんだ全く…
茅野「大丈夫、ですか?」
柊「いいから、チャイムなるよ。」
茅野「あ…じゃあ」
心配をしてくれたのか声をかけてきてくれたのは〝茅野さくら〟
先程の二人と同じ俺が担任をしているクラスの生徒
『手伝うよ』
後ろから声を掛けてきたのはだいぶ前からの知り合いのあなたの名字あなた。
幼馴染が死んだ後から少しずつ何かが変化してる俺のクラスの生徒
柊「あなたも、遅刻するよ」
流石に遅刻は不味い
そう思って声を掛けたが
『別に、僕が遅刻しても甲斐隼人達がどうせ後から来るでしょ
其れに一颯より先に入れば誤魔化しが効くから 僕が嘘得意なの知ってるでしょ』
そういう事じゃないんだが…
まァ言葉に甘えさせてもらおう
二人で直すと矢張り早い。あまり重くなからかすぐに直し終わってあなたに「ありがとう」と伝え頭をなでた
あなたは少し笑顔「どういたしまして」と返してくる
俺はこの笑顔が如何しようもなく好きだ
あなたは先に教室へ向かった
美術室まで一緒に行くとバレるかもしれないからな
誰もいない美術室で箱から取り出したロボットのボタンを押すとけたたましく鳴り響くサイレンと共に“侵入者発見”と鳴る
俺は美術室にかけられた鏡に目をやり____

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