えむ視点
『今日は司くんが演出家さんを連れてきてくれるの!ワクワク~わんだほ~い☆』
着ぐるみ「良かったですね。お嬢様。」
『うん!』
着ぐるみさんとそんな会話をし、ワクワクしながら待っていると案外すぐに時間が過ぎていったみたいで、複数人の足音が聞こえてくる。
アーチを潜り抜けて目に映った人は、類くんと肌が真っ白な人だった。
『なんだか、白雪姫さんみた~い....』
『でも....』
ボソッと呟いた言葉は空気に吸い込まれていった。
少し近くに行こうとすれば白雪姫さんの自己紹介中だったみたいで名前が聞こえてくる。
柊 あなたという名前らしい。とってもわんだほいな名前!
その後は司くんも私も自己紹介して、類くんがもう一人の子を呼んでくるらしい。
その場には司くんと私とあなたくんだけが残った。あなたくんはボーッとしているみたいで、何もない方向をじっと見ている。
チャンスだと思い、聞くことにした。
『ねえ、あなたくん!』
そう呼べば、どこかを映していた瞳が私を映した。
あなた「どうしたの?....えっと、鳳さん。」
...名字で呼ばなくても、名前で呼んでくれてもいいのにな。なんて言葉を飲み込み、聞きたいことを口に出す。
えむ「あなたくん、どうして....」
えむ「.....やっぱり何でもないや!」
そう聞くのを途中で止めれば、あなたくんは疑問を顔に浮かべながら何かを言おうとした。
『そういえば~~~』
だから、話題をそらすことにした。
誰にでも、触れてほしくないところはあるから。
会ったばかりで、そんなに親密になっていないのにこの質問はきっと良くないから。
"どうして、そんなに悲しそうに、苦しそうに笑ってるの?"なんて。
だから、今は聞かない。
でも、いつかあなたくんが悲しそうに、苦しそうに笑うんじゃなくて本当の笑顔で笑えるようにしたい。
そんな思いが私の心に増えた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。